QC検定

QC検定の試験内容と受験者データ

試験日程と受験までの流れ QC検定の試験は年2回。例年3月下旬と9月上旬の日曜日に開催

日本規格協会グループ公式ホームページ インターネット申し込み

1~4級すべてにおいて、受験資格の制限はありません。
初受験で2級や1級に申し込むことも可能です。
試験は年に2回開催されており、2023年は下記スケジュールで実施されます。

2023年 QC検定試験スケジュール

試験日 【第36回】2023年9月3日(日)
受験票配布 2023年7月28日(金)~
申し込み受付期間 2023年6月2日(金)~7月4日(火)
合格発表 2023年10月12日(木)

申し込み方法・受験までの流れ(個人の場合)

手順① 上記サイト内の『QC検定個人WEB申込』から受験の申し込み
手順② 抽選結果の通知メールが到着
手順③ 受験票が到着
手順④ 試験日程・試験地・試験会場の確認
手順⑤ 試験を受ける
手順⑥ 基準解答の公開(試験日から数日後)
手順⑦ WEB合格発表(試験日から約1ヵ月後)
手順⑧ 試験結果通知書の到着(試験日から約2ヵ月後)

試験形式 QC検定2~4級の試験はマークシート式。1級では論述問題も出題

1 実践分野

出題範囲 QC的ものの見方・考え方、品質の概念、管理の方法、品質保証、品質経営の要素、倫理・社会的責任、品質管理周辺の実践活動
問題数・配点 第31回の例
  • 1級:7問
  • 2,3級:8問
  • 4級:3科目全体で17問
試験時間
  • 1級:120分(13:30~15:30) マークシート+論述
  • 2級:90分(10:30~12:00) マークシート
  • 3級:90分(13:30~15:00) マークシート
  • 4級:90分(10:30~12:00) マークシート

※ 準1級取得者の1級再受験:1級試験と同じ

2 手法分野

出題範囲 データの取り方とまとめ方、新QC7つ道具、統計的方法の基礎、計量値データに基づく検定と推定、計数値データに基づく検定と推定、管理図、抜取検査、実験計画法、ノンパラメトリック法、感性品質と官能評価手法、相関分析、単回帰分析、重回帰分析、多変量解析法、信頼性工学、ロバストパラメータ設計
問題数・配点 第31回の例
  • 1級:9問
  • 2,3級:8問
  • 4級:3科目全体で17問
試験時間
  • 1級:120分(13:30~15:30) マークシート+論述
  • 2級:90分(10:30~12:00) マークシート
  • 3級:90分(13:30~15:00) マークシート
  • 4級:90分(10:30~12:00) マークシート

※ 準1級取得者の1級再受験:1級試験と同じ

3 企業活動の基本

出題範囲 製品とサービス、職場における総合的な品質、報告・連絡・相談(ほうれんそう)、5W1H、三現主義、5ゲン主義、企業生活のマナー、5S、安全衛生(ヒヤリハット、KY活動、ハインリッヒの法則)、規則と標準(就業規則を含む)
問題数・配点 第31回の例
  • 1級:なし
  • 2,3級:なし
  • 4級:3科目全体で17問
試験時間
  • 4級:90分(10:30~12:00) マークシート

4 論述試験

出題範囲 自社や自分が関与した品質管理の事例について
※4つの設問から1つを選んで解答
問題数・配点 第31回の例
  • 1級:1問
  • 2~4級:なし
試験時間
  • 1級:120分(13:30~15:30) マークシート+論述

※ 準1級取得者の1級再受験:1級試験と同じ

1~3級では実践分野、手法分野がおおよそ半分ずつと、バランスよく出題されています。4級以外は各科目50%以上が必要なので、2科目ともまんべんなく学習しておくことが大切です。
1級では選択式より難易度が高い論述試験も課されますので、こちらも対策しておきましょう。

QC検定2級受験の勉強スケジュール例やポイントは、下記の記事で紹介しています。これから勉強をはじめる人は参考にしてみてください。

SAT教材で効率的に合格するための勉強法

各級で求められる知識と能力 QC検定の各級で求められる知識と能力

1級(準1級) 品質管理の知識・手法を使いこなせる。部門がまたがる品質問題の解決を主導できる。
2級 品質管理の十分な知識あり。品質管理や品質保証部門の管理職・スタッフとして活動できる。
3級 基礎知識がある。支援・指導があれば職場の問題解決に取り組める。
4級 社会人として常識レベルの知識がある。

QC検定には1~4級の4段階があり、等級によって要求される知識・手法の習熟度はさまざまです。
自分が中心となって品質管理の諸問題を処理できる人向けの1級から、新入社員や学生が受けることを想定した4級まで用意されています。

 

1級(準1級)

QC検定1級(準1級)は、品質管理部門や技術部門の品質技術者・指導者など、社内の品質管理活動を率先して行う専門家を対象に作られた資格です。

2級から4級までの試験範囲に加え、マーケティングといった品質管理の周辺知識や、重回帰分析や多変量解析のように複雑な統計解析手法について問われます。品質管理全般に関する深い知識が求められる高難度資格で、第34回試験(2022年実施)における合格率はわずか10.4%でした。

ほかの級と大きく異なるのは、マークシート試験(1次試験)以外に論述試験(2次試験)も設けられている点です。2次試験は惜しくも不合格だったものの1次試験は合格基準を満たす場合、準1級の認定を受けることができます。

 

2級

自部門で発生した品質問題の解決に取り組む、小集団のリーダー向けの資格がQC検定2級です。品質管理部門や研究開発部門・生産部門など、品質管理に携わるスタッフが受験しています。

QC7つ道具・新QC7つ道具(※)をはじめとする統計手法を利用し、実際に品質管理上の課題に対処できるレベルに達しているかどうかを見られます。手法分野では計算問題も多く出題されるため、日頃からデータ分析などの品質管理業務を行っていない人は対策が必要です。

手法分野の範囲が広く3級・4級の範囲に加えて検定・推定や抜取検査なども含まれるので、より実践的な試験内容になっています。1級と違い、マーケティング・データマイニングといった品質管理周辺の活動については詳しく扱いません。

※QC7つ道具・新QC7つ道具:品質管理上の問題を解決するために広く使われる、データ分析・活用のためのデータ分析手法のこと。パレート図や特性要因図など。

 

3級

仕事内容に関係なく、企業の一員として職場内の問題解決に取り組むすべての社員向けに作られているのがQC検定3級の特徴です。事務部門・営業部門など品質管理に関連する部門以外のスタッフや、品質管理に興味がある学生が受けることもあります。

試験突破にはQC7つ道具など個別の統計手法について概要を理解し、実践分野の基礎知識も身につける必要があります。指導者からのサポートがあれば問題解決に活用できるレベルが合格基準です。

品質管理や業務上の問題解決において基本となる考え方・手法が学べるため、全社員や一定割合の社員に受験を奨励・義務化している企業もあります。

 

4級

QC検定4級は、これから就職予定の大学生・高専生・高校生向けの資格です。他にも派遣社員など、社外の従業員が受けることも想定されています。

3級以上で扱う品質管理の実践・手法のほかに、企業活動の基本も試験範囲です。企業生活のマナーや5Sなど社会人であれば常識だけで解ける分野も多く、品質管理のための入門用試験という位置付けです。

4級の試験勉強用テキストは、公式ホームページにて無料で配布されています(2023年1月27日現在)。品質管理に興味がある・QC検定がどんな検定か知りたい人はまずダウンロードして試験の雰囲気をつかむのもおすすめです。

各級の受験者数および合格率 合格ラインは70%以上。1~2級合格率は30%を下回る難関資格

QC検定各級の受験者数データ

実施回(年/月) 受験者数(人) 合格率(%)
合格者(人)
第35回(23/03) 1 727 2.48%
18
2 8,621 25.08%
2,162
3 23,776 49.91%
11,866
4 7,541 84.95%
6,406
第34回(22/09) 1 705 10.35%
73
2 8,843 25.23%
2,231
3 26,633 54.39%
14,486
4 7,926 85.89%
6,808
第33回(22/03) 1 795 8.18%
65
2 8,342 23.77%
1,983
3 22,971 64.18%
14,743
4 7,620 85.05%
6,481
第32回(21/09) 1 465 12.69%
59
2 5,594 44.33%
2,480
3 16,644 54.39%
9,053
4 4,935 85.15%
4,202
第31回(21/03) 1 752 9.18%
69
2 5,594 48.43%
3,799
3 16,644 52.45%
11,094
4 4,935 85.07%
5,932
第30回(20/09) 1 778 8.10%
63
2 9,617 27.63%
2,657
3 24,435 53.69%
13,120
4 8,039 85.09%
6,840

引用 : 受検者データ、学校申込データ JSA GROUP

合格ラインは総合(全科目)の正答率概ね70%以上。1~3級は各科目50%以上の条件があります。
点数制と異なり正答率で合否が決まる点に注意が必要です。「概ね」ですので、実施回によっては上記基準に満たなくても合格することがあります。

3級は50%前後の合格率ですが、2級になると年によりますが25%前後となり、1級は10%前後です。
2級以上を受験する場合、実務経験者も「油断すると落ちる」という緊張感を持って受験勉強に取り組みましょう。

2級についての具体的な試験対策について下記記事で説明していますので、2級を受験予定の人はこちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。

SAT教材で効率的に合格するための勉強法

試験問題の種類 QC検定における試験問題の種類

QC検定において、マークシート形式の試験問題は「計算問題」「正誤問題」「空欄補充問題」「説明文の選択問題」の4種類です。論述試験ではこれらと別に記述問題が出題されます。

計算問題
手法分野に特有の問題です。各統計手法の公式を用いて、設問で与えられた数値や条件から計算を行い回答します。
空欄補充問題
用意された選択肢のうち、問題文の空欄部分に当てはまる用語の番号を答える問題形式です。知識問題が中心の実践分野では正誤問題と並んでよく出題されています。
正誤問題
書いてある文章の内容が正しいかどうかについて解答する問題です。正誤の判断を行うには、各項目の内容を正確に記憶しなければなりません。
説明文の選択問題
提示された用語の説明文を選ぶ問題です。
論述問題
1級のみで出題される記述問題です。
品質管理の知識や手法を業務に活かした経験や自社の品質管理上の課題など、テーマにそって自分の体験・考えを説明することが求められます。

試験対策とテクニック 時間は十分にあるため、落ち着いて試験に臨むことが求められます。

対策
01

マークシート式問題(とくに実践)から先に解く

QC検定では科目ごとに時間が区切られていないため、ペース配分が大切です。回答時間を長めに確保したい計算や論述を解くタイミングが鍵となります。

おすすめなのは、比較的時間をかけずに解ける選択式問題、中でも知識問題中心の実践分野にまず手をつけるという順番です。「時間を使いすぎて最後まで終わらなかった」といった事態がなくなり、取りこぼしを防止できます。

対策
02

論述問題は回答に使えそうな事例の候補を見つけておく

1級に特有の論述問題では、自分や自社が関わった品質管理活動や現状からの改善策について具体的に聞かれます。当日にいきなり考えると大変ですので、試験範囲内の手法・知識と紐づけられそうな事例をいくつか洗い出しておくと試験に役立つでしょう。

問題慣れや作文能力向上のため、論述問題対策が充実した教材を用いてよく練習しておくことも大切です。

対策
03

設問の選択肢から正解を逆算する

手法分野も実践分野と同じくマークシート形式のため、計算問題も選択肢から選んで回答します。そのため、問題の解き方や使えそうな公式にある程度目星がつけば、選択肢を見ながら検算や公式の確認が可能です。

一見解けそうにない問題も、選択肢を参考にしてさまざまな解き方を試すうちに解ける可能性があります。もし試験時間が余ったら、ぜひこのテクニックを活用してみてください。

対策
04

計算問題にこだわりすぎない

QC検定に合格するには、知識問題を確実に解けるようにしておくことが重要です。

QC検定は全体で正答率70%以上、4級を除きそれぞれの科目で50%以上に達する必要があります。問題数に対する正答率で合否判定が行われるため、計算問題も知識問題も一問の配点は同じです。

計算問題が難所となるQC検定において、知識問題で得点を稼ぐことで一部解けない問題があっても合格しやすくなります。