勉強前に知っておくべきこと 3つの点を理解した上で効率的に合格しましょう。
第一級デジタル通信の勉強に取り組む前に、下記のポイントを理解しておきましょう。
- 実務経験や知識があれば合格までの勉強時間を短縮しやすいこと
- 一部の科目では計算問題も出題されること
- 取得資格や実務経験によっては一部科目を免除できること
本記事ではこちらの3つのポイントを念頭に置きつつ、第一級デジタル通信(旧区分:DD第一種)試験の勉強方法と試験対策について説明します。
とくに「業務で使用予定があり、絶対に合格したい! 」という方は必見です!
合格に必要な勉強時間 第一級デジタル通信の合格には100~150時間程度の勉強時間が必要
4ヵ月前から勉強を始める方=通信設備工事の基礎知識・経験があまりない
合計学習時間 | 250時間程度 |
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平日 | 1.5時間 |
土日 | 4時間 |
3ヵ月前から勉強を始める方=実務経験はあるが不安、または工事担任者試験初受験
合計学習時間 | 150時間程度 |
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平日 | 1.0時間 |
土日 | 3.5時間 |
2ヵ月前から勉強を始める方=第二級デジタル通信またはDD第二・三種を取得済み、もしくは通信設備工事の経験が豊富
合計学習時間 | 100時間程度 |
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平日 | 1.5時間 |
土日 | 2.5時間 |
第一級デジタル通信(旧区分:DD第一種)試験に合格するのに確保すべき勉強時間は、おおむね100~150時間です。(免除科目がなく、全科目の受験が必要な場合)
第一級デジタル通信(旧区分:DD第一種)取得者の中には、わずか50時間未満の勉強時間で合格したという猛者も存在します。このように、実務経験や専門知識が豊富ならさらに勉強時間を短縮できる可能性もあります。
「万全の状態で試験にのぞみたい」「実務経験があまりなくて心配......」という方は、勉強期間や毎日の勉強時間を長めにとっておきましょう。
500時間以上勉強する方もいるようですが、基礎知識がまったくない場合を除けば、200~300時間程度あればじっくり苦手をつぶしていけるはずです。
押さえるべきポイントと対策 基礎分野は計算問題対策が必須。技術及び理論・法規分野は暗記で対応可能
第一級デジタル通信試験において課されるのは、マークシート方式の学科試験です。
- 電気通信技術の基礎
回路や伝送など、電気工学・電気通信の基礎的な内容について出題されます。暗記で解ける問題だけでなく計算問題もあるので、数字が苦手な方は対策が必須です。 - 端末設備の接続のための技術及び理論
端末設備や総合デジタル通信をはじめとして、通信設備工事に関わる技術的な内容が多く問われる科目です。IP-PBX等や広域イーサネットなど第二級デジタル通信にはなかった項目も含まれているので、第二級デジタル通信取得者であっても油断できません。 - 端末設備の接続に関する法規
暗記が苦手な方にとって鬼門となる法規では、電気通信事業法と有線電気通信法など通信設備工事に関連する法律の知識が要求されます。第二級デジタル通信では大要のみだったものが深堀りされる科目です。
そのほか、一定条件に当てはまると特定の科目を免除できるのも重要ポイントです。
勉強時間が大幅に削減できる可能性があるので、とくに工事担任者の受験経験や実務経験がある方は下記ページにて免除規定を必ず確認しておきましょう。
不安な場合や自分のケースが免除対象に該当するか分からない場合は、試験運営元の日本データ通信協会に事前に問い合わせをしておくと確実です。
電気通信技術の基礎 計算問題が肝心。スムーズに解けるように何度も繰り返し計算練習しましょう。
科目 | 電気通信技術の基礎 |
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問題形式 | マークシート方式 |
合格ライン | 60点以上(100点満点) |
出題項目としては第二級デジタル通信と同じ電気工学・電気通信の2つですが、『電気工学の初歩』から『電気工学の基礎』のように名称が変わっています。
『通信評価指標』『基本論理演算等』などが追加され、難易度・範囲がレベルアップしています。第二級デジタル通信取得者であっても復習を兼ねて、苦手分野を中心に勉強し直すのがおすすめです。
01
計算問題をスムーズに解けるようにしておく
基礎分野では知識問題だけでなく、計算問題が多く出題されます。公式を覚えていないとそもそも解くことすらできないので、まずは公式や基礎知識の定着に力を入れましょう。
ただ、公式を丸暗記しただけでは、基本問題はともかく少しひねった問題には太刀打ちできません。過去問や演習問題など本番レベル形式の問題を繰り返し解いて、どんな問題も見ただけで解き方が予想できるようにしておくのがおおすめです。
02
計算問題の勉強は最初に取り組む
上記の通り、基礎分野では知識問題に加えて計算問題の対策も必要になります。公式の暗記や過去問を含む問題演習の時間を確保するため、試験勉強ではなるべく最初に取り組んでおきたい科目です。
とくに計算が苦手な方や基礎知識があまりない方は時間がかかるため、勉強期間を長めに確保しておくと安全です。
端末設備の接続のための技術及び理論分野の内容 過去問題 / 類似問題を何度も勉強してください。
科目 | 端末設備の接続のための技術及び理論 |
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問題形式 | マークシート方式 |
合格ライン | 60点以上(100点満点) |
第一級デジタル通信の技術及び理論分野では、第二級から『情報セキュリティ管理』『端末設備等の運用管理・保守管理技術』などが新たに試験範囲に加わります。
最新の通信技術も多く対象とする科目のため、たとえば流行の技術に合わせた問題を出題するなど、試験回によっては内容や出題傾向が調整される可能性もあります。受験前に過去問や日本データ通信協会公式サイトの公示を調べ、前回試験から変更があるか確かめておきましょう。
01
過去問・問題集を繰り返し解く
過去問や問題集を繰り返し解きつまずいた部分を解説やテキストで復習する方法だと、スムーズに学習を進められます。
技術及び理論分野は計算問題も含みますが、知っていれば解ける知識問題が中心の科目です。テキストを読み込んで理解するというよりは、最低限の解き方・知識を覚え、問題演習を通じて記憶の定着と試験対策を同時に行うと効率がよくなるでしょう。
02
類似問題をまとめて解く
明確に苦手な項目があるなら、問題集の1ページ目から順番に取り組まず、似たような出題内容の問題を一度にまとめて解くのも効果的です。
学習内容を忘れる前に何度も類似問題を解くことで、その項目への理解が深まるだけでなくつまずく回数を減らせます。業務が忙しくまとまった時間が取れない場合において、勉強時間の短縮に役立つでしょう。
端末設備の接続に関する法規分野の内容 暗記が主。忘れないようにするため一番最後に勉強してください。
科目 | 端末設備の接続に関する法規 |
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問題形式 | マークシート方式 |
合格ライン | 60点以上(100点満点) |
法規分野は文章の穴埋め問題や選択肢の正誤を問う問題などが出題されるため、関連する条文を暗記していないと合格できません。
テキストや過去問を用いて、「電気通信事業法」「有線電気通信法」などの試験に出やすい箇所をしっかり覚えておきましょう。
01
3科目の中で最後に勉強する
複数の科目を受験する必要がある場合、法規分野の勉強は最後に取り組むのをおすすめします。
法規分野は基礎分野、技術及び理論分野と異なり計算問題が出題されない暗記科目です。試験日まで間が空くとせっかく覚えた内容を忘れてしまう可能性が高いため、試験日がある程度近づいてきてから集中して勉強するとよいでしょう。
02
過去問を暗記・出題傾向の把握に活用する
法規分野は暗記科目ではありますが難しい言い回しや用語が多く用いられているため、法律の原文を読むだけで覚えるのは至難の業です。過去問を何度も解けば、出題傾向がわかるだけでなく試験で出やすいポイントが効率的に暗記できます。
記憶をより深く定着させるため、テキストでの学習がいち段落したら過去問に重点的に取り組みましょう。
学習スケジュール 第一級デジタル通信の出題範囲と3タイプ別学習スケジュール例
第一級デジタル通信の出題範囲をそれぞれの科目について下記表にまとめました。
勉強をはじめる前に、業務を通じて触れていないなど知識が少ない要注意な項目があるか把握しておくとよいでしょう。
電気通信技術の基礎 | 電気工学の基礎、電気通信の基礎 |
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端末設備の接続のための技術及び理論 | 端末設備の技術、接続工事の技術、ネットワークの技術、情報セキュリティの技術 |
端末設備の接続に関する法規 | 電気通信事業法及びこれに基づく命令、有線電気通信法及びこれに基づく命令、不正アクセス行為の禁止等に関する法律、電子署名及び認証業務に関する法律及びこれに基づく命令 |
実務経験があれば免除される科目があることからもわかるように、第一級デジタル通信は専門知識の深さや実務経験のレベルに応じて必要な勉強時間が変わってきます。
本記事では、持っている知識・経験の異なる3タイプを想定し、効率的なスケジュール案を紹介します。最適な学習スケジュールを組むために、以下のタイプ分けを参考にまずはいまの自分のレベルを振り返ってみましょう。
実務経験や基礎知識が初心者レベルの場合
- 実務経験が少ない方
- 工事担任者を初めて受けることになり、受験に不安がある方
- 免除科目がないまたは計算が苦手な方
通信設備工事の経験があるが、工事担任者試験が初受験の場合
- 実務経験も基礎知識もあるものの、しっかりと試験対策をしたい方
- 第二級デジタル通信などほかの工事担任者を取得していない方
- 工事に関連する法律知識に自信がない方
実務経験が豊富で、工事担任者の試験を受験したことがある場合
- 通信設備工事の施工/施工管理業務などで日常的に専門知識・技術を使う機会がある方
- 第二級デジタル通信またはDD第二種を取得済みの方
- 計算や暗記に苦手意識がない、または苦手意識のある科目を免除された方
上記の3つのモデルケースについて、それぞれのケースごとの学習スケジュール例は以下の通りです。
どのように学習を進めていいか迷っている方は、こちらを基本の型として自身の状況や免除科目の数によって調整してみてください。
(単位:ヵ月目、0.25=1週間(1月4週間)のイメージ)
1
ヶ月目2
ヶ月目3
ヶ月目4
ヶ月目技術/理論
法規
- 完全未経験の場合を除いて、知識レベルの確認のために一年分でも構わないので過去問を解いてみましょう。過去問で試験のイメージをつかんだり苦手分野を探したりした方がその後の学習スケジュールを立てやすくなります。問題文が理解できないレベルであればこのステップは飛ばしましょう。
- まずは計算問題対策で時間を取られる基礎分野の勉強に取り掛かりましょう。第一級デジタル通信では第二級で電気工学/電気通信の「初歩」だった科目が「基礎」になります。覚える公式や解き方も第二級より多くなりますので、どんな問題にも対処できるように問題演習を繰り返しましょう。
- 最新技術を出題内容として扱う性質上、過去問にない問題が出るなど試験回によって傾向が変わる可能性も考えられます。本番で多少のトラブルやミスがあっても合格点が取れるように、出やすい問題は確実に解けるようにしておきましょう。
- 法規分野は最後に着手しましょう。正確な条文・項目の暗記が求められる科目ですが、さすがに全文を一字一句覚えるのは無理があります。過去問や問題集を活用して、試験で頻出の箇所に絞って効率的に覚えていくのがおすすめです。
- 基礎固めや暗記が一通り済んだら、あとは過去問をじっくり解いて問題慣れしておきましょう。何度も間違えてしまう項目・科目は、テキストに戻って復習したり、模範解答の解説を読んだりして苦手を克服しておくのが大切です。
まとまった時間が取れない社会人におすすめなのはEラーニング教材
知識問題に加えて計算問題も一度に対策するには、過去問や問題集などで実践的な問題を繰り返し解くのが近道です。ただし、仕事で疲れてへとへとになった状態で机に長時間向かうのは、非常に強い意志と体力がないと難しいのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、動画講義や問題演習サービスをオンライン上で受けられる「Eラーニング」を活用した勉強方法です。
オンライン学習であれば、テキスト不要でスマートフォンやタブレットから場所や時間を選ばずに利用できます。移動中や待ち時間などのスキマ時間を勉強時間にあてて帰宅後の勉強時間を最小限に抑えれば、無理なく学習を進められるでしょう。