管工事施工管理技士とは 施工管理技士の種目のうちの1つです。
管工事施工管理技士といわれても、ぱっと具体的な仕事内容が思いつかないという人がよくいます。管工事施工管理技士とは、施工管理技士の種目のうちの1つです。
施工管理技士は、特に建設業界では人材が足りず、需要が多い存在です。特に工事計画書を作ったり、安全面での整備をしたり、第三者との利害調整を行ったりなど、その業務範囲は広くどれも重要なものばかりで、建設業界では不可欠の存在です。
2023年現在、施工管理技士は7つの種目があります。
建築・土木・電気工事・造園・建設機械・電気通信工事、そして管工事が含まれます。
年収・仕事内容 管工事施工管理技士が行う主な仕事内容は4つ!
管工事施工管理技士は、その名の通り、施工管理技士のなかでも管工事を専門に扱います。
管工事とは、冷暖房などの空調、給水管、浄化槽、ガス管などの工事のことです。
上記の管関係工事について、施工計画の立案や安全設定、品質の管理を実施するのが管工事施工管理技士です。
管工事施工管理技士は、自ら管工事を行うというよりは、全体を指揮し統括する役割を果たします。
大きく分けて「施工計画の立案」「工程管理」「品質管理」「安全管理」の4つの仕事を行います。
01
施工計画の立案
管工事が設計図や予算通りに安全に進行されるための工法を計画します。
施工計画では、主に以下の事項を立案します。
- 管工事に関わる工事業者の選定と役割分担
- 工事現場や周辺状況の調査、把握
- 主要な工種ごとの作業フロー
- 主要資材とその品質確認の手法
02
工程管理
管工事が計画通り進行できるように管理をします。
管工事の開始から完了までの内容を把握し、工事に関わる業者のスケジュールを作成します。
また、円滑に管工事を進めるために必要な資材の発注管理も行います。
03
品質管理
管工事現場における品質管理とは、設計図で指示された内容を満たすことを指しています。
予算に応じて材料や、仕上げの程度、性能、精度等の目標を計画し、実行しています。
万が一設計図の指示通りに進めることが不可能な場合は、依頼主と設計者に相談し、他の方法を検討することもあります。
04
安全管理
建設現場は他の仕事と違い労働事故が起こる可能性が高いため、事故なく工事を終えることは何より大切なことです。それは管工事の現場でも当てはまります。
従業員が怪我をすることなく業務を進められているかや、作業用の設備が正常に整われているかを管理するのも、施工管理技士の重要な仕事のひとつです。
工事の規模による 管工事施工管理技士の1級と2級の違い
1級管工事施工管理技士と2級管工事施工管理技士に分かれており、工事の規模により選任が異なります。
1級管工事施工管理技士とは
1級管工事施工管理技士は、建築物とは異なり、河川、道路、橋梁、港湾、鉄道、上下水道といったすべての土木工事の責任者である主任技術者、あるいは現場の全体を指揮する監理技術者といった業務内容で管理を行います。
1級管工事施工管理技士の資格保持者が多ければ会社にとっても有利に働くため、将来性を見ても土木管理において活躍の場が期待できると言えます。
2級管工事施工管理技士とは
2級管工事施工管理技士は、土木、鋼構造物塗装、薬液注入の3つの種類に分かれていて、河川、道路、港湾、鉄道、上下水道といったすべての土木工事において、主任技術者として工事の施工管理ができます。
ただし、合格した3つのうち1つの専門分野においての主任技術者として施工管理が行えます。
1級管工事施工管理技士、2級管工事施工管理技士は、いずれも、品質管理、工程管理のほか安全管理、予算管理を含む施工管理を業務としていますが、若い世代だけでなく、年配者の人にも人気があります。
資格取得者は、企業からすれば土木工事において必要不可欠であり、貴重な人材であることから、転職や再雇用といった定年後を見据えた人にも働きやすいといったメリットがあります。
受験方式 一次と二次とは?管工事施工管理技士の受験方式
施工管理技士の試験は1級・2級ともに「第一次検定」と「第二次検定」の二段階に分かれています(2020年度まではそれぞれ「学科試験」と「実地試験」の名称で実施)。
両方に合格することで、資格の取得となります。
第一次検定は四肢択一形式が基本で、選択肢の中から正答を1つを選び解答をします。
ただし、応用能力問題では1問につき2つの解答を選択する必要があります。
一方、第二次検定は記述式で解答をする必要がありますので、文章力も必要となります。
なお第一次検定に合格すると、管工事施工管理技士補の資格がえられます。
土木業界の深刻な人手不足を少しでも解消するために、新たに設けられた資格になります。
1級の施工管理技士補を取得すると、監理技術者の補佐として従事することが可能になります。2級の施工管理技士補は実務的な役割はありませんが、転職に有利になることはあるので、取得価値は十分にあると言えます。
1級管工事施工管理技士の受験概要
1級管工事施工管理技士では、第一次検定と第二次検定でそれぞれ別の受験資格があります。
学歴や所持している資格で細かく定められているので、下記の表で確認をしてください。
1級管工事施工管理技士 第一次検定の受験資格
次のイ、ロ、ハ、ニ、ホのいずれかに該当する者
区分 | 学歴又は資格 | 管工事施工に関する実務経験年数 | ||
---|---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 卒業後 |
|||
イ | 大学卒業者 専門学校卒業者(「高度専門士」に限る) |
卒業後3年以上 | 卒業後4年6ヶ月以上 | |
短期大学卒業者 高等専門学校卒業者 専門学校卒業者(「専門士」に限る) |
卒業後5年以上 | 卒業後7年6ヶ月以上 | ||
高等学校・中等教育学校卒業者 専修学校の専門課程卒業者 |
卒業後10年以上 | 卒業後11年6月以上 | ||
その他の者 | 15年以上 | |||
ロ | 技能検定合格者 | 10年以上 | ||
ハ | 高等学校卒業者 中等教育学校卒業者 専修学校の専門課程卒業者 |
卒業後8年以上の実務経験(その実務経験に指導監督的実務経験を含み、かつ、5年以上の実務経験の後専任の監理技術者による指導を受けた実務経験2年以上を含む) | ||
ニ | 専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある者 | 高等学校卒業者 中等教育学校卒業者 専修学校の専門課程卒業者 |
卒業後8年以上 | 卒業後9年6ヶ月以上 (注) |
その他の者 | 13年以上 | |||
ホ | 2級合格者 |
1級管工事施工管理技士 第二次検定の受験資格
次のイ、ロ、ハのいずれかに該当する者
イ 1級管工事施工管理技術検定・第一次検定の合格者 (ただし、(1)ホに該当する者として受検した者を除く)
ロ 1級管工事施工管理技術検定・第一次検定において、(1)ホに該当する者として受検した合格者のうち(1)イ、ロ、ハ、ニまたは次のⅰ、ⅱのいずれかに該当する者
区分 | 学歴又は資格 | 管工事施工に関する実務経験年数 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 卒業後 |
|||||
ⅰ | 2級合格後3年以上の者 | 合格後1年以上の指導監督的実務経験及び専任の監理技術者による指導を受けた実務経験2年以上を含む3年以上 | ||||
2級合格後5年以上の者 | 合格後5年以上 | |||||
2級合格後5年未満の者 | 高等学校卒業者 中等教育学校卒業者 専修学校の専門課程卒業者 |
卒業後9年以上 | 卒業後10年6ヶ月以上 | |||
その他の者 | 14年以上 | |||||
ⅱ | 専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある者 | 2級合格者 | 合格後3年以上の者 | 合格後1年以上の専任の主任技術者実務経験を含む3年以上 | ||
合格後3年未満の者 | 短期大学卒業者 高等専門学校卒業者 専門学校卒業者(「専門士」に限る) |
(1)イの区分 | 卒業後7年以上 | |||
高等学校卒業者 中等教育学校卒業者 専修学校の専門課程卒業者 |
卒業後7年以上 | 卒業後8年6ヶ月以上 | ||||
その他の者 | 12年以上 |
第一次検定免除者
1) 技術士法(昭和58年法律第25号)による第二次試験のうち技術部門を機械部門(選択科目を「流体機器」又は「熱・動力エネルギー機器」とするものに限る。)、上下水道部門、衛生工学部門又は総合技術監理部門(選択科目を「流体機器」、「熱・動力エネルギー機器」又は上下水道部門若しくは衛生工学部門に係るとするものに限る。)とするものに合格した者で、第一次検定の合格を除く1級管工事施工管理技術検定・第二次検定の受検資格を有する者(技術士法施行規則の一部を改正する省令(平成15年文部科学省令第36号)による改正前の第二次試験のうち技術部門を機械部門(選択科目を「流体機械」又は「暖冷房及び冷凍機械」とするものに限る。)、水道部門、衛生工学部門又は総合技術監理部門(選択科目を「流体機械」、「暖冷房及び冷凍機械」又は水道部門若しくは衛生工学部門とするものに限る。)とするものに合格した者を含む。)
2級管工事施工管理技士の受験概要
2級管工事施工管理技士 第一次検定の受験資格
試験度中における年齢が17歳以上の者
2級管工事施工管理技士 第二次検定の受験資格
次のイ、ロのいずれかに該当する者
イ 2級管工事施工管理技術検定・第一次検定の合格者で、次のいずれかに該当する者
学歴又は資格 | 管工事施工に関する実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科の卒業者 | 指定学科以外の卒業者 | |
大学卒業者 専門学校卒業者(「高度専門士」に限る) |
卒業後1年以上 | 卒業後1年6ヶ月以上 |
短期大学卒業者 高等専門学校卒業者 専門学校卒業者(「専門士」に限る) |
卒業後2年以上 | 卒業後3年以上 |
高等学校卒業者 中等教育学校卒業者 専修学校の専門課程卒業者 |
卒業後3年以上 | 卒業後4年6ヶ月以上 |
その他の者 | 8年以上 | |
技能検定合格者 | 4年以上 |
第一次検定免除者
- 平成28年度以降の学科試験のみを受検し合格した者で、(2)イのうち第一次検定の合格を除く2級管工事施工管理技術検定・第二次検定の受検資格を有する者(当該合格年度の初日から起算して12年以内に連続2回の第二次検定を受検可能)
- 技術士法による第二次試験のうち技術部門を機械部門(選択科目を「流体機器」又は「熱・動力エネルギー機器」とするものに限る。)、上下水道部門、衛生工学部門又は総合技術監理部門(選択科目を「流体機器」、「熱・動力エネルギー機器」又は上下水道部門若しくは衛生工学部門に係るとするものに限る。)とするものに合格した者で、第一次検定の合格を除く2級管工事施工管理技術検定・第二次検定の受検資格を有する者(技術士法施行規則の一部を改正する省令(平成15年文部科学省令第36号)による改正前の第二次試験のうち技術部門を機械部門(選択科目を「流体機械」又は「暖冷房及び冷凍機械」に係るものとするものに限る。)、水道部門、衛生工学部門又は総合技術監理部門(選択科目を「流体機械」、「暖冷房及び冷凍機械」又は水道部門若しくは衛生工学部門とするものに限る。)とするものに合格した者を含む。)
- 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者で、平成27年度までの2級の技術検定の学科試験に合格した後、学校教育法による大学を卒業した者で高等学校又は中等教育学校在学中及び大学在学中に規則第2条に定める学科を修め、高等学校又は中等教育学校を卒業した後8年以内に行われる連続する2回の実地試験(第二次検定)を受検しようとする者で、管工事施工管理に関し1年以上の実務経験を有する者
幅広い知識が必要 1級管工事施工管理技士の合格率
1級菅工事施工管理技士の学科試験は出題範囲も問題数も多いため、菅工事に限らずに幅広い分野の知識を持っていることが必要とされます。
合格率は、他の国家試験に比べると低いというわけではないですが、決して油断をすることなく対策を進めていきましょう。
学科合格率データ
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1級管工事
施工管理技士
学科(一次)の
過去3年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度 | 16,839 | 7,231 | 42.9% |
2021年度 | 15,827 | 3,792 | 24.0% |
2020年度 | 13,531 | 4,738 | 35.0% |
2019年度 | 16,838 | 8,769 | 52.1% |
2018年度 | 16,473 | 5,471 | 33.2% |
実地合格率データ
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1級管工事
施工管理技士
実地(二次)の
過去3年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度 | 6,618 | 3,769 | 57.0% |
2021年度 | 4,540 | 3,330 | 73.3% |
2020年度 | 8,211 | 5,018 | 61.1% |
2019年度 | 10,431 | 5,492 | 52.7% |
2018年度 | 7,608 | 4,011 | 52.7% |
2017年度 | 10,158 | 6,421 | 63.2% |
難易度そのものは低い 2級管工事施工管理技士の合格率
1級と比べて2級の方が出題範囲が限られているため、難易度そのものは低いと言えるでしょう。 しかし、学科試験よりも実地試験の施工経験記述でつまづく受験者が多いと言われています。
過去問題を確認し、文章を作成することに慣れておいた方が良いでしょう。
学科合格率データ
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2級管工事
施工管理技士
学科(一次)の
過去3年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度 | 11,051 | 6,274 | 56.8% |
2021年度 | 9,070 | 4,406 | 48.6% |
2020年度 | 9,535 | 6,064 | 63.6% |
2019年度 | 9,118 | 6,321 | 69.3% |
2018年度 | 10,301 | 5,873 | 57.0% |
実地合格率データ
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2級管工事
施工管理技士
実地(二次)の
過去3年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度 | 8,316 | 4,962 | 59.7% |
2021年度 | 13,099 | 6,054 | 46.2% |
2020年度 | 12,678 | 5,514 | 43.5% |
2019年度 | 13,064 | 5,760 | 44.1% |
2018年度 | 13,694 | 5,537 | 40.4% |
2017年度 | 14,449 | 5,903 | 40.9% |
就職と独立 管関係専門でなくても、建設会社やリフォーム会社など、間口は広い。
管工事施工管理技士は、ガスや空調、給水といった管にまつわる管理業者に就職することが多いです。
とはいえ、管関係専門でなくても、建設会社やリフォーム会社など、およそ建物を扱う会社であれば、管問題も必須についてきますから、おのずと間口は広くなります。
特に管工事施工管理技士の資格は、実務経験も必要なので、その資格の存在で一定のスキルを担保されます。
上記のように大規模工事を担当できる一級の資格は需要が大きく、もって給料も高い傾向があります。
フリーランスとして独立も可能
管工事施工管理技士の資格を取って就職するのではなく、独立をしたいと考える人もいます。
確かにこの資格は実務経験があることが条件ですから、独立をするのにも既に充分な経験を積んでいる場合があります。
その場合には、会社を設立して起業をする方法があります。
ただし、いきなり会社を作るのはハードルが高いと考える人も相当数います。
そのときは、フリーランスとして活動する方法が存在します。こちらのほうが、業務委託という形で企業と契約をしながら行っていけば良いので、気軽に始められます。
特に前述のように需要が大きいため、フリーで活動するにも仕事に困らないケースが多いです。
1つの会社と信頼関係が築けてくると、金銭面での交渉をしやすいのが、フリーランスの強みです。
この報酬交渉や複数の企業との契約によって、企業勤めの限界を突破できる可能性があります。