電気工事施工管理技士とは 電気工事を管理・監督する上級技術者!
電気工事施工管理技士の主な仕事内容は、建設工事現場における照明設備工事、変電・発電設備工事、送配電線工事、電車線工事、信号設備工事、構内電気設備工事などの施工管理をすることです。
電気工事の施工管理とは、電気工事の施工計画の作成、工事の工程管理、品質・安全管理などを行うことを指します。
最近ではベテランの電気工事施工管理技士の多くが定年を迎え人手不足になっています。さらに大規模な太陽光発電設備が各地に設置され需要が高くなっており、日進月歩で新技術が現場に導入されていることから、引く手あまたの優遇される資格です。
仕事内容 電気工事施工管理技士が行う主な仕事内容は3つ!
施工管理とは、設計図通りに電気工事を進めるために、施工計画・工程、安全、品質の管理を行う業務です。
電気工事施工管理技士の仕事は、大きく「電気工事の施工計画作成」「工事の時の工程管理」「工事の品質・安全管理」の3つに分けられます。
01
電気工事の施工計画作成
電気工事施工管理技士は、主に以下の施工計画を行います。
- 発注者との連絡調整
- 役所等への申請書類の作成、申請業務
- 工事を行う社内技術者や下請け業者の選定、工事日程や内容の指示
- 現場やその周辺の調査
- 電気施工図の作成
- 電気工事の見積
施工計画を立てるときには、いざ工事が始まってから予算オーバーや工程の遅れが出ないように、事前に建築図面の確認や不明な点の確認を念入りにすることも重要です。
02
工事の時の工程管理
工事の時は、主に以下の工程管理を行います。
- 工程作成
- 工程管理
- 電気資材の発注
電気工事は特に他業種の作業の影響を受けるので、工程通りに進まないことも多々あります。加えて、途中での工事内容変更がある可能性もあります。
そのため、電気工事施工管理技士には、工事中の調整に対して柔軟に対応できる工程の作成と管理が求められます。
難しいと感じることもあるかもしれませんが、ここが施工管理技士の腕の見せどころとも言えるでしょう。
03
工事の品質・安全管理
近年、特に安全管理が重視されています。
現場の巡回を行う時には、施工や技術のみならず作業員の健康状態を確認することも大事な仕事の一つです。
工事の品質・安全管理では、主に下記のことを行います。
- 現場での作業員の監督・指導
- 安全管理
このように、工事の発注者、設計者、工事現場に従事する多数の作業員、役場等の検査員など、とても大勢の人と関る仕事が電気工事施工管理技士の仕事です。
打合せ、定例会への出席などの業務もあるので、他業種の人たちとの良好な関係を保てるコミュニケーションスキルを日々磨いておくことも、資格を活かすために有効です。
請け負える仕事の違い 電気工事施工管理技士には1級・2級がある
どちらも電気工事の管理・監督を行いますが、一級と二級では請け負える仕事の規模が違います。
一級電気工事施工管理技士とは
電気工事の施工管理に加え、一級ができる仕事の内容は次のとおりです。
- 一般建設業の営業所ごとに置く専任技術者
- 現場ごとに置く主任技術者
- 特定建設業の営業所ごとに置く専任技術者
- 監理技術者(別途資格者証の取得が必要)
特定建設業とは、簡単に言うと発注者から直接工事を受注できる元請けになれる許可がある建設業です。
一級があればゼネコンなどの規模の大きな建設会社で専任技術者として働くことができるので高収入も見込めます。
つまり、一級の資格を取得するなら、どんな規模の工事でも管理・監督ができ、会社にとっても不可欠な存在になるということです。大きな仕事をしたい、収入をアップしたいという方は、ぜひ一級の取得を目指しましょう。
二級電気工事施工管理技士とは
二級ができる仕事の内容は次のとおりです。
- 一般建設業の営業所ごとに置く専任技術者
- 現場ごとに置く主任技術者
二級では特定建設業での専任技術者や監理技術者になることはできません。
これが一級と二級の唯一で大きな違いといえます。
電気工事の管理・監督の仕事を目指すなら施工管理技士の資格を持っていなければなりません。そのため、一級の受験資格をお持ちの方は初めから一級を受けた方が良いでしょう。
しかし、一級の受験資格は持っていないという場合は、一級の受験資格が得られるまで待たずに、まず二級を取得して実務経験を積むほうがステップアップの近道になるでしょう。
一次と二次の違い 電気工事施工管理技士の受験方式
施工管理技士の試験は1級・2級ともに「第一次検定」と「第二次検定」の二段階に分かれています(2020年度まではそれぞれ「学科試験」と「実地試験」の名称で実施)。
両方に合格することで、資格の取得となります。
第一次検定は四肢択一形式が基本で、選択肢の中から正答を1つを選び解答をします。
ただし、応用能力問題では1問につき2つの解答を選択する必要があります。
一方、第二次検定は記述式で解答をする必要がありますので、文章力も必要となります。
なお第一次検定に合格すると、電気工事施工管理技士補の資格がえられます。
土木業界の深刻な人手不足を少しでも解消するために、新たに設けられた資格になります。
1級の施工管理技士補を取得すると、監理技術者の補佐として従事することが可能になります。2級の施工管理技士補は実務的な役割はありませんが、転職に有利になることはあるので、取得価値は十分にあると言えます。
1級電気工事施工管理技士の受験概要
1級電気工事施工管理技士では、第一次検定と第二次検定でそれぞれ別の受験資格があります。
学歴や所持している資格で細かく定められているので、下記の表で確認をしてください。
1級電気工事施工管理技士 第一次検定の受験資格
下表の受検資格の区分イ~ホのいずれかに該当する方は、第一次検定を受検可能です。
区分 | 学歴又は資格 | 実務経験年数 | ||
---|---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | |||
イ | 大学、専門学校「高度専門士」 | 卒業後 3年以上 | 卒業後 4年6ヶ月以上 | |
短期大学、高等専門学校(5年制)、専門学校の「専門士」 | 卒業後 5年以上 | 卒業後 7年6ヶ月以上 | ||
高等学校、中等教育学校(中高一貫校)、専門学校の専門課程 | 卒業後 10年以上※1,2 | 卒業後 11年6ヶ月以上 | ||
その他(学歴問わず) | 15年以上※2 | |||
ロ | 第一種、第二種又は第三種電気主任技術者免除の 交付を受けた者 |
6年以上 (交付後ではなく通算の実務経験年数です) |
||
ハ | 第一種電気工事士免除の交付を受けた者 | 実務経験年数は問わず | ||
ニ | 2級電気工事施工管理技術検定第二次検定※合格者 (令和2年度までは実地試験) |
合格後 5年以上※1,2 | ||
2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定※合格後 実務経験が5年未満の者 (※令和2年度までは実地試験) |
短期大学 高等専門学校(5年制) 専門学校の「専門士」 |
上記イの区分参照 | 卒業後 9年以上※2 | |
高等学校 中等教育学校(中高一貫校) 専門学校の専門課程 |
卒業後 9年以上※2 | 卒業後 10年6ヶ月以上※2 | ||
その他(学歴問わず) | 14年以上※2 | |||
ホ | 【注】区分ホの受験資格は、第一次検定のみ受講可能です。この区分で受験申請した場合、第一次検定合格後、今年度の第二次検定を受験することができません。 | |||
2級電気工事施工管理技術検定第二次検定※合格者 (※令和2年度までは実地試験) |
実務経験年数は問わず |
1級電気工事施工管理技士 第一次検定の受験資格
下記のいずれかに該当する方が受検申込可能です。
- 技術士法による技術士の第二次試験のうちで技術部門を電気電子部門、建設部門又は総合技術監理部門(選択科目が電気電子部門又は建設部門)に合格した者で、上記区分イ~ニのいずれかの受検資格を有する者
- 令和3年度以降の1級電気工事施工管理技術検定第一次検定合格者のうち、上記の区分イ~ニのいずれかの受検資格で受検した者
- 令和3年度以降の1級電気工事施工管理技術検定第一次検定合格者のうち、上記の区分ホの受検資格で受検した者で、上記の区分イ~ニのいずれかの受検資格を有する者
- 本年度第一次検定の合格者【上記の区分イ~ニの受検資格で受検した者に限る】
2級電気工事施工管理技士の受験概要
2級電気工事施工管理技士 第一次検定の受験資格
- 試験度中における年齢が17歳以上の者
2級電気工事施工管理技士 第二次検定の受験資格
(1)第一次・第二次検定(同日に受験をする場合)
下表の区分イ〜二のいずれか一つに該当する方が受検申込可能です。
区分 | 学歴又は資格 | 実務経験年数 | |
---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | ||
イ | 大学 専門学校の「高度専門士」 |
卒業後 1年以上 | 卒業後 1年6ヶ月以上 |
短期大学 5年制高等専門学校 専門学校の「専門士」 |
卒業後 2年以上 | 卒業後 3年以上 | |
高等学校 専門学校の「専門課程」 |
卒業後 3年以上 | 卒業後 4年6ヶ月以上 | |
その他(最終学歴問わず) | 8年以上 | ||
ロ | 電気事業法による第一種、第二種又は第三種電気主任技術者免状の交付を受けた者 | 1年以上 (交付後ではなく、通算の実務経験年数として) |
|
ハ | 電気工事士法による第一種電気工事士免状の交付を受けた者 | 実務経験年数は問いません | |
ニ | 電気工事士法による第二種電気工事士免状の交付を受けた者 (旧・電気工事士を含む) |
1年以上 (交付後ではなく、通算の実務経験年数として) |
(2)第二次検定のみ
次にあげる[1]〜[3]のいずれかに該当し「第一次・第二次検定(同日受検)」の受検資格を有する者は、第二次検定のみ受検申込が可能です。
- 技術士法による技術士の第二次試験のうちで技術部門を電気電子部門、建設部門又は総合技術監理部門(選択科目を電気電子部門又は建設部門に係るもの)に合格した者
- (令和2年度までの)2級電気工事施工管理技術検定試験の「学科試験のみ」受検の合格者で有効期間内の者
- (令和3年度以降の)2級電気工事施工管理技術検定の「第一次検定」合格者
(3)第一次検定のみ
試験実施年度において満17歳以上となる方
難易度は高い 1級電気工事施工管理技士の合格率
他の電気系の資格と比べると、第一種電気工事士より1級電気工事施工管理技士の方が、合格率は高いです。
しかし、受験資格に第一種電気工事士の免状取得者が含まれるなど十分な知識や実務経験が求められているので、やはり1級電気施工管理技士試験の難易度が高いと言えるでしょう。
さらに電気系の資格の最高峰と言われる電気主任技術者と比較するとどうでしょうか。
第三種電気主任技術者は受験資格に実務経験が含まれていないので、受験者が多く合格率は一桁です。電気主任技術者のほうが難易度が高いと言えます。
学科合格率平均データ
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1級電気工事
施工管理技士
学科(一次)の
過去3年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度 | 16,883 | 6,458 | 38.3% |
2021年度 | 15,001 | 7,993 | 53.3% |
2020年度 | 14,407 | 5,493 | 38.1% |
2019年度 | 15,048 | 6,128 | 40.7% |
2018年度 | 16,989 | 9,532 | 56.1% |
実地合格率平均データ
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1級電気工事
施工管理技士
実地(二次)の
過去3年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度 | 10,493 | 6,556 | 62.5% |
2021年度 | 7,922 | 4,655 | 58.8% |
2020年度 | 6,723 | 4,887 | 72.7% |
2019年度 | 8,114 | 5,382 | 66.3% |
2018年度 | 12,034 | 8,845 | 73.7% |
合格率は高い 2級電気工事施工管理技士の合格率
過去3年の合格率を見ると、国家資格としては難易度は高くないように思えます。
しかしこの合格率は、受験資格で求められる学歴や資格・経験に伴った知識を身に着けていることが前提ですから、合格率以上に難易度は高いです。
ただし知識や実務経験をしっかりと積み上げ、試験のために時間を取って計画的な勉強をするなら合格は難しくないでしょう。
学科合格率平均データ
【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。
2級電気工事
施工管理技士
学科(一次)の
過去3年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度 | 8,027 | 4,466 | 55.6% |
2021年度 | 8,359 | 4,776 | 57.1% |
2020年度 | 8,239 | 4,818 | 58.5% |
2019年度 | 5,313 | 3,119 | 58.7% |
2018年度 | 6,177 | 3,808 | 61.6% |
実地合格率平均データ
【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。
2級電気工事
施工管理技士
実地(二次)の
過去3年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度 | 4,768 | 2,947 | 61.8% |
2021年度 | 6,932 | 3,493 | 50.4% |
2020年度 | 6,588 | 2,967 | 45.0% |
2019年度 | 7,151 | 3,249 | 45.4% |
2018年度 | 7,961 | 3,436 | 43.2% |
就職と独立 有資格者が人手不足なので就職や転職ではかなり有利!
現在、ベテランの定年などで業界では有資格者が人手不足なので就職や転職ではかなり有利な資格になります。就職先は大手ゼネコンから電気工事会社までと多岐にわたり、これから自分がしてみたい工事を請け負っている会社を選ぶとよいでしょう。
建設会社や電気工事会社以外にも、最近ではメガソーラーの会社やビル管理会社などの設備の維持管理の分野でも求人があるようです。
つまり電気工事が関連する業種全てで求められていると貴重な資格といえるでしょう。
独立は可能?
様々な現場で実務経験を積むなら、現場監督として独立を考えることもできます。
会社でのしがらみがないフリーランスを選ぶ方もいるようです。その場合は建設会社と契約して、期間契約を締結します。
ただし、会社に雇用されていない場合にはいくつかの制約もでてきます。
- 建設業法に基づき監理技術者や現場代理人にはなれない
- 公共工事もほぼできない
この資格は建設業許可の申請が可能となるので、工事の資格も持っている方などは電気工事会社を設立することができます。電気工事士より請け負える業務が増えるので仕事を獲得する際に有利でしょう。
どちらにしても独立を考えるなら
- 施工管理技士としての実務経験
- コミュニケーションスキル
- 学習意欲
が不可欠でしょう。
今の会社や取引先からの信頼を得て、良好な関係を築いておくと独立後に仕事の受注に苦労せずに済むでしょう。
電気の技術は日々進歩しています。今までは会社にいれば自然と入ってきた情報が入ってこなくなりますので、意欲的に情報を得て学ぶ意欲がないと取り残されてしまい、仕事の受注も難しくなります。
独立前から自分で情報収集と学習をする習慣をつけることをおすすめします。