SQCや実験計画法は、製造業、サービス業、医療、農林水産業等々の幅広い分野で、改善や開発・設計の効率を高めるツールです。
データの読みや予測の誤りは、強いては経営判断にまで影響します。実験においても、効率的な実験計画にしないと、工数やコストが大きくなります。
このため、SQCの基本とともに、実践的、効果的な実験方法を身につけることが必要です。この記事では、これら手法の勘所や活用方法を伝授いたします。
目次
SQC(統計的手法)とは?
SQC(統計的手法)とは、すでに得られたデータから、改善前後での効果有無や次の出来栄え予測を行うための手法であるといえます。
ここで、AIやビッグデータ解析との違いに注意する必要があります。通常、AIやビッグデータは、何万、何十万以上ものデータが必要な世界を対象にしています。
工程改善や開発、研究分野、新規サービスなどにおいては、それほど多くのデータがあることは少なく、ほんの10個や20個のデータで改善効果があったかどうかを判断しなくてはなりません。工場間、材料ロット間の品質差異比較なども同様です。
実験計画法とは?
実験計画においては、事態はもっと差し迫った状況となります。全く同じ実験に、サンプルをたくさん作る暇もカネもないのが現状です。
実験回数も少なくする必要があります。ここにも、AIでは無理な状況があるわけです。
又、その少ない実験回数でも、その後の再現性が必要になります。再現性のない実験に意味がないのは、論を待ちません。
SQCと実験計画法は難しい?
ところが、これほど必要性が理解されても、なかなか使われていないのが現状です。
その大きな理由のひとつには、基本となる統計学に、難しい数理の知識が必要であることがよく挙げられます。
しかし、皆さんは、いちいちパソコンやスマホを使う時に数学基礎(2進法)から始めて、理解してからお使いになるのでしょうか?エクセルのプログラミングを勉強しないと、四則計算はできないのでしょうか?
基本理論を厳密に理解していなくても、道具(ツール)はうまく使えればよいのです。
ある程度の基本を知り、勘所を外さずに、すぐに使えることが大事です。むしろ、使い方を間違えなければ、基本はわからなくてもよい。紙ハサミの使い方やノコギリの使い方がわかっておれば、紙ハサミで木を切らないし、ノコギリで紙を切ろうとしません。うまく木を切るのはノコギリで、きちんと紙を切るには紙ハサミです。
本当のところ、ハサミの原理というのは物理学的に難しい話のようです。しかし、通常、ハサミを使うのに物理学から勉強することは先ずないでしょう。それでいいわけです。
SATの技術者スターター講座100について
SQCと実験計画法についてもっと知りたい方は、SATの技術者スターター講座100の「SQCと実験計画法~実践で役立つ手法をわかりやすく~」がおすすめです。
SATの技術者スターター講座100では、SQCや実験計画法は、実践で役に立てるための道具(ツール)と考え、使い方をわかりやすく説明し、実践の場で効果的な応用が可能となるよう構成しています。
業務分野からは、製造業はじめ、建設業、サービス業、農林水産業、等々幅広く、データのあるところ、どこでも関係してきます。ここからは講座内容について紹介していきます。
幅広い受講対象者
新入社員教育として
この講座は、社内教育の視点からは、新入社員教育としても最適です。SQCや実験計画法は、まず高校ではやらないし、大学の講義でも取り上げられないでしょう。このため、考え方や使い方は、社会に出てから勉強することになります。
最初に統計的なものの見方や効率的な実験計画の筋道をたてる訓練をすることによって効果的な業務効率につながります。もちろん、技術力や現場改善力をますます飛躍させたい中堅技術者、実務者にも向いています。
資格試験対策として
また、資格試験対策としても最適な講座内容としました。
実践が大事だといっても、試験傾向の話を前面に出さないということではありません。実学の資格試験(技術士やQC検定、統計検定など)では、重要な手法において、実際の使い方の場面でよく間違いやすいところを出題します。
そこが実践では、大事だという注意喚起みたいなものでしょう。試験そのものが、実践重視内容となっています。
この講座は、QC検定の2級や3級レベル、技術士の経営工学部門2次レベルも意識した内容となっています。
講座内容について
講座の内容は、以下のとおりです。
1. 統計分布とSQC基本
1.1 SQCの必要な理由とデータのまとめ方基礎(ヒストグラム、散布図)
1.2 統計分布の基本(正規分布、二項分布、ポアソン分布)
1.3 ばらつき評価のための統計分布(t分布、F分布、カイ二乗分布)
2. 検定・推定・回帰分析
2.1 検定と推定の基本概念
2.2 計量値の平均とばらつきの検定・推定
2.3 計数値の平均とばらつきの検定・推定
2.4 回帰分析と留意点
3. 実験計画法
3.1 実験計画法と分散分析の考え方基本
3.2 二元配置における分散分析
3.3 直交表による実験計画法基本
3.4 品質工学との関連性、違い
3.5 演習:想定実験を直交表へ割付けと留意点
時間配分は、全体で6時間ですが、大項目ごとにほぼ2時間ずつの配分です。
ここからは各大項目について解説していきます。
1.「 統計分布とSQC基本」
実際によくつかわれるヒストグラムや散布図の落とし穴から説明しています。といっても、重箱の隅つつきではなく、実践でよくやってしまうミスについての説明です。QC検定や技術士試験も意識していますので、資格試験対策としても有益です。
一例ですが、正しいヒストグラムを書く手順の第一歩は、なにか?これはヒスト(柱)の個数です。
これがもとになっています。もし、適当にこれを設定してしまうと、ふた山分布もきれいなベル形状になったり、その逆も起こります。
ヒストグラムの形を見て、改善策を考えましょうというのが通説ですが、柱の個数を間違えると、大きな誤判断につながります。ほかにも、落とし穴対策が満載です。
2.「検定・推定・回帰分析」
SQCの基本中の基本となる有意差検定、信頼区間、予測のための回帰のお話です。
差があるとはどういう意味か?その場合、どこからどこまで分布していると考えられるかは、実践でも非常に重要です。これを少数サンプルでおこなう方法につき、わかりやすく解説します。
又、回帰分析において、よくみる誤用例を紹介しましょう。散布図からの回帰方程式(直線回帰の式)は、今やエクセルでも簡単に出ます。
たとえば、y=2x+1という回帰式があったとします。
xが温度、yが出来上がり寸法だと仮定します。xが25℃なら寸法は2×25+1=51と予測します。
これは正しいですが、逆に寸法を51にしたいときの温度を決めたいので、先ほどの式から、xつまり温度を25℃とする、これは間違いです。
こういう間違いをやってきた方、気になる方はぜひ、この講座で詳細説明をお聴きください。
3.「実験計画法」
やみくもに実験して、とにかく工数をかければよいというものではありません。効率よくの意味は、実験コスト(工数コスト)も小さく、かつ、それでいて再現性に優れた結果でなければなりません。
また、ここでは「品質工学と実験計画法の関連性」についても説明します。
品質工学は、開発哲学のように語られます。それはそれで結構ですが、実験計画法との混同、混乱は避けたいものです。交互作用をどう考えるかで、実は簡単に理解できるのです。
どちらを使うのかは、それこそ、その人の目的、実験方針によります。違いがわからずにやってしまうと無茶苦茶になるわけです。高尚な開発哲学もそうなるとおしまいです。
実験計画法基本用語の交互作用という言葉も、騙されやすいのです。これは、グラフ上に何らかの線が二つあって、交互に交わることをさす数学的な言葉です。反対が平行線です。ところが、日本語の感覚から、交互の作用だと思ってしまいがちです。
たとえば、よく効く薬Aがある。同等によく効く薬Bがある。
それで、両方の薬を飲んだら、効果が倍増したというなら交互作用ではなく、相加作用です。
この真逆で、効果がない、もしくは、かえって、病状悪化したというのが交互作用です。
もちろん、両方飲んで、倍増どころか、3倍、4倍にも改善効果があったというのも交互作用です(この場合、コストを除けば、問題にならない交互作用)。
このことをきちんと理解すれば、品質工学(パラメータ設計)と実験計画法の違いは、明確になります。
本講座は、ここにも力点を置いて説明しています。違いをよく知ったうえで、長短を知って手法活用することが大事です。
どちらが良い手法かというのは、そういう観点から、ケースバイケースになります。
関連して、直交表というものについても大きな誤用や無理解が見受けられます。この点についても本講座では、先ほどの交互作用とも絡めて、わかりやすく説明しています。
初心者向けに、直交とはなにか?から始めています。今まで、直交表がわからなかった方、これから使いたい方にはピッタリです。
SATの技術者スターター講座の受講方法
当講座は、Web受講方式です。
一般的なweb講習の特徴は、インターネット配信で講習を受講する方法で、インターネットを介して動画を視聴する環境が整っていれば、場所を選ばず受講できます。そのため、インターネットを介して受講するケースは増加しています。
ただし、一般的には、以下のような注意点があります。
- インターネットをスムーズに受信できる環境がないと実施が難しい
- ノートパソコン1台だけといった環境では、大勢の従業員に実施させるのが難しい
- 講習会を主催する団体によっては、配信時間が限られている場合がある。
SATの技術者スターター講座には、以下のようなメリットがあります。
- 24時間365日、オンラインでの受講が可能=場所や時間にしばられない
- 端末のカメラで受講状況をしっかり担保(AI顔認証システム)=受講状況を管理できる
- スマホアプリで修了証が即日自動発行=教育受講証明必要時に安心
まとめ:SATの技術者スターター講座で基礎を学ぼう
当講座は、業務の効率化、改善、開発、設計に必要なツールの教育です。
受講するメリットは大きいので、ぜひ広範囲の業務分野、新入社員教育、資格試験対策として受講して頂きたいです。
SATが主催するWeb講座は24時間365日いつでも受講できるうえ、顔認証システムによって管理者がいなくても大丈夫です。修了証も即日発行できるので、いろいろな場面で活用できます。
ぜひ、当講座の受講をご検討ください。webにてお待ちしております。