購買・外注管理とは、製品や部品などのために必要なものを必要な時期に適正な価格で調達するため の管理活動です。
調達する品目は、①原材料②購入品③外注加工品に大別できます。
購買・外注管理の業務は、外部の取引先や協力会社とのコミュニケーションや交渉をすることになるため、取り扱い商品や加工に関する知識、さらにその業界や新技術、取引先の経営状況などの幅広い情報を要求されます。
ここでは、購買・外注管理の概要を解説しています。
目次
購買管理・外注管理の役割とは
購買管理・外注管理では、製品を作るために必要な原材料や部品などを生産のタイミングに合わせて、適正な価格で調達(供給)することが役割になります。
そして、この購買管理・外注管理の役割を担当する部門が、多くの企業では資材部門や購買部門などと呼ばれます。さらに、調達を担当する社員のことをバイヤーと呼んでいます。
製品を作るために必要な原材料や部品
通常の購買管理・外注管理業務でバイヤーは、生産部門から依頼された原材料や部品の注文依頼をもとに購入をすることになります。
このとき、バイヤーは、図面や仕様書などをもとにそれらの品目の性能や仕様、寸法、精度などを満たす品目でなければなりません。つまり、原材料や部品の品質が確保できることです。
近年は、電子化やソフト化などの情報技術の進展によって、品質上でそれらの原因によるトラブルが増えました。バイヤーも、調達する品目について、技術面でわからない、知らないではすみません。技術的な基礎知識を持っておく必要があります。
また、品質確保のために開発・設計や品質管理、生産技術など他部門との連携を図るためのコミュニケーション力が求められるようになってきています。
生産のタイミングに合わせて
つぎに、生産のタイミングとは、生産計画をもとに設定された納期と発注数量を達成することです。
この納期では、発注から納品までの期間(購入リードタイム)に対する取引先でその品目を生産し、納品するための期間(リードタイム)が重要になってきます。
一般的に購入品の場合、取引先のリードタイムの方が、購入リードタイムよりも長いです。これは、取引先が、独自に予測をもとに販売計画を立案し、製品の生産をし、対応しているからです。このため、需要に変動(増加)が発生した場合、品薄状態になり、納期遅れや生産計画の変更が発生することになります。
バイヤーは、このような需給状況の変化に注意を払い、対策を検討しておくことです。
適正な価格で
新しい部品の調達を考えるとき、バイヤーは、通常部品を購入するために複数の取引先に見積もりを依頼します。そして、バイヤーは、それらの取引先から見積書を入手します。
取引先の見積金額は、おそらく同じ金額になることはないでしょう。バイヤーは、それらの見積金額の中から取引先と取引単価(発注単価)を決め、発注することになります。この発注単価を決めるうえで、適正な価格にするとなるわけです。
それでは、この適正な価格とは、最も安価な価格とは異なるのでしょうか。バイヤーは、既存の取引先について、見積金額とともに調達する品目の技術的な側面、取引先の協力度、経営状況などを加味して、決定することになります。
ただ、見積金額以外の側面で優位さが見られない場合、バイヤーは、一般に最も安価な価格を選択することになるでしょう。バイヤーは、この取引先間の優位性や特徴を把握することが必要になります。
購買管理のプロセス
製造企業では、販売計画をもとに製品の生産計画を作成し、必要な部品や原材料、購入品を手配することになります。
手配をするにあたって、社内で作るか(内作)、外作するのか(外作)を決めます。そして、外作が、購買管理・外注管理の対象になります。
以下の5つの手順で進められますので、一つずつ確認していきましょう。
1.調達する品目の見積依頼
新規の部品や原材料の調達では、取引先(発注先)と購入単価(発注単価)を決めなければなりません。このため、購買管理・外注管理部門では、複数の取引先の候補を選択し、見積依頼します。
2.取引先の選定と発注単価の決定
その後、バイヤーは、取引先から提出された見積書を評価し、取引先(発注先)と購入単価(発注単価)を決めます。その結果は、取引先に通知します。
3.発注(注文書)処理
つぎにバイヤーは、注文書を発行し、取引先に注文書を送ります。
4.納期の管理
バイヤーは、発行した注文書の納期をもとに予定通りに納品できるよう管理します。
5.支払いの管理
取引先から注文した品目(原材料や部品、購入品など)が納品されて完了ではありません。納品された後、取引先への代金の支払いがあります。バイヤーは、この支払に漏れなどがないように確認をしておくことです。
継続して繰り返し発注している部品や材料などの品目の場合は、③~⑤を繰り返すことになります。
購買・外注管理をより詳しく学ぶためには
ここまで購買・外注管理に関して解説してきましたが、購買・外注管理をより詳しく学ぶためにはSATの技術者スターター講座100の新人向け「購買・外注管理」がおすすめです。
ここからはSATの技術者スターター講座100の内容について紹介します。
購買管理・外注管理部門の目的
会社の第一の目的は「利益の獲得」にあります。そして、利益は、売上高から費用を差し引いた金額になります。製造企業では、この売上高に占める原材料や購入品、加工品などの調達する品目の費用の割合が、50%以上を占めています。
そして、この調達する品目を担当しているのが、購買管理・外注管理の部門です。さらに、購買管理・外注管理部門で調達品目を有利に買い入れることによって、コストダウンを図れます。この結果は、直接会社の利益に反映されます。この重要性を詳しく紹介します。
また、購買管理・外注管理は、製品を作るための生産活動で必要な原材料や部品を調達することです。これは、製造現場の生産性や効率性を考え、なおかつ購買管理・外注管理業務の効率化を進めることです。
そのためSATの技術者スターター講座100では、生産活動全体と購買管理・外注管理の活動について、その業務内容や関連性などを解説します。生産計画の立案から原材料や部品などの調達までの流れを解説します。
この結果は、購買管理・外注管理業務だけを考えた部分最適な業務の進め方ではなく、生産活動における全体最適の業務の進め方を推進することができるようになります。
調達品目は3つに大別できる
冒頭でも触れましたが、調達品目は①原材料②購入品③外注加工品に大別することができます。
- 原材料は、社内の製造活動に使用する品目です。
- 購入品は、製品の一部として組付けられる品目です。
- 外注加工品は、発注企業の仕様(図面など)をもとに受注企業で製作し、発注企業に納品する品目です。
これらの区分は、原材料や購入品であれば、需給動向による品薄の発生などにより納期遅れと過剰在庫に重点を置いた管理することになります。
外注加工品では、バイヤーが、協力会社(取引先)に複数の加工工程や作業をまとめて発注するようになっています(ワン・ストップ・サービス)。このため、バイヤーは、適正な価格を知るために見積もりの仕方を理解し、価格交渉で活用できることが必要になってきます。調達品目ごとに注意すべきポイントを含めた見積もりについて解説を加えています。
このほかにコンプライアンスについても解説しています。ここでは、購買管理・外注管理の業務では、知っておかなければならない下請代金支払遅延防止法(略して下請法)について述べます。
最後に現在も課題となっております製品開発段階での目標原価です。製造企業のほとんどが、この目標原価を設定し、達成することを推進しています。購買管理・外注管理の業務の中に開発購買があります。製品設計では、開発設計段階で目標原価を達成するために各部門から参画・支援をします。
開発購買は、資材部門や購買部門からの参画メンバーのことです。開発購買担当者に求められる資質について解説します。