みなさんは経験や勘に任せて商品企画を進めた結果、思うように成果の出なかったことはないでしょうか。
そこで紹介したいのが、定性的手法で大量の有効な仮説を創出し、定量的手法できちんと評価して最適なコンセプトに仕上げる、感性と科学の融合による最強のシステムであるNeo P7(新・商品企画七つ道具)です。
ここでは、Neo P7(新・商品企画七つ道具)の解説と、さらに詳しく学べる方法を紹介しています。
目次
商品企画に失敗する原因は大きく2つ
顧客が購入したくなるグッドアイデアを得て、「売れる」ことを正確に検証し、モノ・サービスとして具体化(開発)し、上手に販売すれば売れるのは当然です。
この前半が「商品企画」で、ここがうまくいかなければ、いくらその後の開発や製造や販売が頑張っても、売れる見込みはありません。
商品企画のシステム化を目指して30年、大学で研究・教育を続けながら幾多の企業に商品企画システムを教えられた経験のある成城大学名誉教授の神田範明氏は、商品企画に失敗する原因は以下にあるとしています。
商品企画失敗の原因
A 良い仮説・アイデアが出てこない
B 仮説・アイデアの検証をきちんとできていない
更に、A、B共に根本原因は「やり方のまずさ(非科学的な方法論)」にあるでしょう。
伝統的なマーケティングや経営学をいくら学んでも断片的な原理原則を覚えるだけで「具体的にどうするか」という真の実践論、手法論にはなりません。勢い、経験論や精神論がはびこり、再び失敗を繰り返すのです。まして、ネット検索やSNS、AIなどでの表面的な情報収集でヒット商品を創出するなど、あり得ません。
最強のシステム・Neo P7(新・商品企画七つ道具)とは
神田範明氏は、1994年に日本科学技術連盟を通じて商品企画のシステマティックツール「P7(商品企画七つ道具)」を発表し、多くの企業に歓迎されました。
そして、2013年にその改良版である「Neo P7(新・商品企画七つ道具)」を発表しました。P7とNeo P7では基本の考え方(システマティックな商品企画)と後半に用いる手法は同一ですが、時代のニーズに合わせて「より優れた仮説案をどんどん創出する」ための改良を行いました。
Neo P7では最初に「仮説発掘法」「アイデア発想法」を用いて大量(最低200件以上)の優良仮説を創出し、後半でそれを詳細に検証して最高の企画案(購入意向5段階評価で最低4.0以上)にする方法を確立したのです。
Neo P7システムの全体像
上の図がそのNeo P7システムの全体像です。ここからは、7つの各手法について解説していきます。
① 仮説発掘法
ユーザーの潜在ニーズを発掘し、優れた仮説を大量に獲得する方法です。
ユーザーに依頼し受け取った写真+文章データから大量の仮説をシステマティックに創出する「フォト日記調査」と、対話式の巧妙なアンケートによりユーザー自身に仮説を考案してもらう「仮説発掘アンケート」の2法があります。
これらを用いることで、どなたでも100件以上の有力仮説を抽出することができます。
② アイデア発想法
企画者自らがアイデアを創出するシステマティックな方法です。
短時間に大量にユニークな視点の発案のできる「焦点発想法」、常識全否定から画期的発案に導く「アナロジー発想法」、グループで互いに刺激し合って発案する「ブレイン・ライティング」の3法があります。
これらを用いることにより、どなたでも100件以上の有力仮説を創出することができます。
①の仮説発掘法と合わせて用いることにより、どなたでも200件以上の有力仮説を生み出します。
③ インタビュー調査
直接ユーザーに仮説に対する意見や評価を尋ね、仮説をブラッシュアップすると共に、ユーザーの思考の構造を明らかにします。
ユーザーグループに直接インタビューする「グループインタビュー」と、1対1で比較評価してもらうシステマティックな「評価グリッド法」の2法があります。
④ アンケート調査
絞り込んだ仮説をユーザーに定量評価してもらい、図的に集約して検討します。
多数の評価項目の平均値を比較する「スネークプロット」と、各仮説の改善すべきポイントを炙り出す「CSポートフォリオ」の2法があります。
⑤ ポジショニング分析
売れる案を客観的に絞り込む、超システマティックな手法です。
関連の高い評価項目同士を集約し、地図上で仮説のポジション(位置関係)を明らかにし、最高に売れる方向(理想方向)をズバリ推定する、驚異のマップを作成します。これにより「最高の仮説」が客観的に数案に絞られ、現状の仮説の改善方向も判断できます。
更に、下図のように層別して精密に検討することができます(矢印が理想ベクトル)。
⑥ コンジョイント分析
ポジショニング分析で得た優良仮説を基にして最終的な要素の組み合わせ案を作成し、ユーザー評価により最高の企画案を詳細に決定します。
ユーザーの層別、クラスタリングにより、必ず5段階評価で最低4.0以上の購入意向となる企画案と対象層を同時に決定します。
絶対に購入してもらえる商品内容と購入するユーザーを決定できるため、失敗なき商品企画案がここに完成します。
⑦ 品質表
企画者が決定した企画案を開発者(技術者)に確実に伝え、実現を図る表です。
コンジョイント分析の結果から企画案における各項目の重要度を正確に推定し、技術項目の重要度に変換しますので、どの技術を重視すべきか、リスクを防止すべきかが客観的にわかります。
Neo P7(新・商品企画七つ道具)を用いるメリット
こここまで、Neo P7(新・商品企画七つ道具)の概要について解説してきました。ここでは、Neo P7(新・商品企画七つ道具)を用いることのメリットについて紹介します。
- 新商品あるいは新規事業の企画・開発のシステマティックな方法を学び、標準化することにより、失敗が限りなくゼロに近づきます。連続的にヒット商品を創出することが誰でもできるようになります。
- 大量の潜在ニーズ仮説を短期間に創出し、その中から容易に質の高い「感動商品」のコンセプトを得ることができるようになります。
- 仮説案を経験や勘に頼らずに客観的、科学的に評価検討し、必ず売れる商品企画案を決定することができるようになります。
- 7ステップ中の4ステップでユーザーとコミュニケーションを行うので、ユーザーのニーズ、意見を十分に反映させることができます。これにより、安定的にヒット商品を生み出せるようになります。
- 他社動向を探ったり、新技術から無理に新商品を作り出したりせず、常にユーザー視点でニーズを深掘りして商品を企画・開発する習慣が身に付きます。
- BtoBの場合も、顧客(企業)に盲目的に依存せず、エンドユーザーの視点で真に求められる商品を企画し、顧客(企業)と共に開発を進めて成功する構図を築き上げます。
Neo P7(新・商品企画七つ道具)を詳しく学ぶには
ここまでNeo P7(新・商品企画七つ道具)について紹介してきましたが、ここからはNeo P7(新・商品企画七つ道具)についてさらに詳しく学ぶことができる通信教育SATのEラーニング講座「確実にヒットを生むNeo P7(新・商品企画七つ道具)~感動商品をシステマティックに創造するメソッド~」を紹介します。
この講座は、先ほど紹介した成城大学名誉教授である神田範明氏自らが講師となっているため、Neo P7(新・商品企画七つ道具)についての理解をより深めることが可能となっています。
この講座では、次のようなことを習得し、実践できるようになります。
- ユーザーの潜在ニーズを多数発掘し、今まで例のないヒット商品を創出する。
- 1時間に30件以上の大量のアイデアを発想したり、常識を打ち破るアイデアを発想する。
- ユーザーへのインタビューやアンケート調査を効率的かつ正確に実行できる。
- アンケート調査データを独自に分析し、仮説の比較評価や「最良の仮説」の判定ができる。
- 最高に売れる企画案を最終的に決定し、購入意向を正確に数値予測することができる。
- 企画案を開発技術側と連携して確実に実現できるようにする。
またこちらの講座の特徴は以下のようになっています。
- いつでもお好きな空き時間に、お好きな環境で学べます。任意の箇所を何度でも反復して学習できます。
- どなたでもご利用になれます。前提とするマーケティング、経営学等の予備知識、必要な実務経験はありません。
- どの内容も実践的な例題を用いて、丁寧に解説されています。
- いくつかの練習課題で実際に体験していただくコーナーを設け、理解を深めるようにしています。
- 質問があれば、遠慮なくSAT事務局にお問い合わせ下さい。なるべく早期にご回答申し上げます。
- 希望により実践的な添削課題を選択でき、身近なテーマに手法を応用していただき、講師の添削・解説により深く習得ができます。