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コストダウンのノウハウを教えます!|M.M氏

111人の方が、この記事を参考にしています。

はじめまして。M.Mと申します。

私は、コストエンジニアリングを専門とし、加工品見積もりソフトや新技術の紹介で、製造業の皆様の経営効率化推進に携わってきました。

このコラムでは、そんな私の仕事と、皆様にご提供できる知見を伝えられればと思います。

経歴について

まずは簡単な経歴から紹介させていただきます。

主な著書

① 原価管理(日本実業出版)
② これならできる「経営分析」(かんき出版)
③ コスト見積もり力養成講座(日刊工業新聞社)
④ 目標原価達成のためのコスト見積もり術(日刊工業新聞社)
⑤ 正しい見積書評価とコストダウン(日刊工業新聞社)
その他多数の著書があります。

U.T氏のプロフィールの詳細は、こちらでも公開しております。
サービス全体の内容については、SAT PROのページをご覧ください。

前提

会社の第一の目的は利益の獲得にあります。

そして製造業は製品を作り、販売することによって利益を得ることになります。このため、製造業では製品の採算性を高めることが必須です。(製品売価=製品原価+利益)

私はこの製品の採算性を高め、利益の向上を図るためにものづくりと見積もりの技術、管理会計に関する教育及びコンサルティングを行っています。

また、ものづくりと見積もりの技術に関しては、機械加工品と板金加工品の見積ソフトを開発し、販売もしています。

見積ソフト

機械加工品の見積ソフト

① コスト・シミュレーター:  部品加工及び構造物の見積ができる。
② 切削・研削コストテーブル: 部品加工の見積ができる。
③ 切削コストテーブル:  デモ版。加工条件を修正できない。
④ ポンチ絵見積もりくん:  設計者向けに開発した部品加工の見積ソフト。

板金加工品の見積ソフト

① コスト算定システム:  板金部品単体及び板金構造物の見積ができる。

加工費の事例

利益の獲得のために重要な加工費について、事例を掲げます。

加工費の見積もりは、一般に製作するための工程(設備機械)とその手順ごとに加工時間(あるいは所要時間)と加工費レート(あるいは時間単価)を乗じた金額を求め、その金額の合計になります。

以下に、同じ設備機械を持つ板金メーカー2社について、設備機械の購入金額及び加工費レート(時間単価)を示します。

設備機械の購入金額及び加工費レート(時間単価)

設備機械

レーザー加工機

ベンダー

溶接機

設備購入金額

3,000万円

1,000万円

120万円

A社(時間単価)

85円/分

85円/分

85円/分

B社(時間単価)

170円/分

65円/分

55円/分

レーザー加工機は、鋼板から部品を切り出す切断加工、ベンダーはブランク品の曲げ加工、溶接機は部品を組付けてくっつける溶接作業のことです。

そして、A社は、各設備機械の購入金額を考慮することなく、一律にして加工費レート(時間単価)にしています。これに対してB社は、設備機械の購入金額を反映した加工費レート(時間単価)を設定しています。

つぎに、受注品目(部品D、E、F、G)についての加工時間(所要時間)は、以下のようになっています(A社B社ともに同じ時間)。

部品の工程別加工時間(所要時間)

設備機械

レーザー加工機

ベンダー

溶接作業

部品D

1分

1分

2分

部品E

2分

1分

1分

部品F

2分

0分

0分

部品G

0分

0分

2分

部品D、E、F、Gの見積もり結果は、以下のようになります。

会社別部品の見積金額
 部品D部品E 部品F部品G

A社

340円

340円

170円

170円

B社

345円

460円

340円

110円

部品を購入する立場からA社とB社の見積金額を比較しますと、レーザー加工機が中心の部品はA社に発注することになり、溶接作業が中心の作業ではB社に依頼することになるでしょう。

しかし、実際のA社の部品Fや部品Gの見積金額は、この計算のようにはなりません。なぜなら、部品Fのようにレーザー加工機による切断加工だけでは、設備機械を購入金額した費用を回収することができず、赤字になるからです。

このため、A社の部品Fの見積金額は、適当な割増分を加えて提出され、部品Gの見積金額は、適当な値引きを行い提示されます。(部品F 350円、部品G 140円などのように。)

一方、購買部門の中には、この説明にある最も安価な加工費レート(時間単価)をもとに見積金額の提出を要求している会社があります。

たとえば、レーザー加工機は85円/分、ベンダー加工は65円/分、溶接作業(CO2溶接)55円/分をもとに見積金額の提出を要求するのです。

吹き出し左側用のアイコン

加工費の見積もりは、一般に製作するための工程(設備機械)とその手順ごとに加工時間(あるいは所要時間)と加工費レート(あるいは時間単価)を乗じた金額を求め、その金額の合計になります。

この結果は、類似品を比較すると金額が大きく違う、なぜか高額である、コストダウンの方法が見つからない、このため買い叩くという状況に陥りやすいのです。

これは、見積金額を評価する際に論理性や裏付けが明確になっていないために起きることです。価格交渉時に高いから下げてという前に、自社の製品や部品についての見積金額を理論的・科学的に算出するべきです。

まとめ

会社の第一の目的は利益の獲得をすることです。

このため、受注する協力会社(A社、B社)では製品の採算性を確保する、部品を調達する購買部門では機会損失を未然に防ぐことで利益に貢献しています。

吹き出し左側用のアイコン

その過程において、一律や裏付けのない最も安価な加工費レート(時間単価)というようなドンブリ勘定的な考えでは、しっかりと利益を得ることをできないでしょう。

そのためには、コストを見積もる際に理論的かつ科学的なアプローチを用いて、精度の高い見積もりと利益を確実にすることが重要です。そうすることで、企業は、損失を回避し、競争で優位性を持つことができます。

このコラムを参考に、自社の加工費の見積もり基準の設定を見直して、利益獲得を目指しましょう。

現場でのコンサルティングに興味が湧いた方は、SAT PROで一緒に貴社の課題解決を考えていきましょう。皆様の会社の利益に結びつける頼もしいパートナー(仲間)になれるように、私も尽力いたします。

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