技術士は、理系資格の最高峰です。難易度が高いうえに、高度な専門的知識が求められることから、高卒から技術士になれるのかという疑問を持つ方も少なくないでしょう。
結論からいうと、技術士の第一次試験に合格し、必要な実務経験を積むことで、高卒の方でも技術士の資格取得は可能です。
今回は、高卒から技術士になるための3つの方法と、第一次試験に合格するための勉強法について解説します。
目次
高卒でも技術士になれるのか?
技術士試験には第一次試験と第二次試験があり、技術士第一次試験は年齢や国籍、学歴といった受験資格がありません。そのため、高卒の方も第一次試験を受験することは可能です。
第一次試験は択一式で、全部門共通の基礎科目と適性科目、部門ごとの専門科目が出題されます。
ただし、第二次試験を受験するには、受験申し込みの時点で2つの要件を満たす必要があります。
No. | 技術士第二次試験の受験資格 |
---|---|
1 | 技術士補となる資格を有していること |
2 | 業務経歴(科学技術に関する実務経験)を有していること |

このように、技術士を取得するには、所定の実務経験が必要です。第一次試験に合格できたからといって、すぐに第二次試験は受けられない、ということを覚えておきましょう。
学歴別の技術士受験者の割合
では高卒で技術士試験を受験している人はどのくらいいるのでしょうか。令和6年度に実施された試験のデータから見ていきましょう。
ここでは、第一次試験と第二次試験それぞれの受験者の人数や割合を最終学歴別に掲載しています。
技術士 第一次試験
技術士第一次試験 最終学歴別 受験者データ(令和6年度試験) | ||||
---|---|---|---|---|
最終学歴 | 受験者数 | 全体比 | 合格者数 | 対受験者 合格率 |
大学院 | 3,470人 | 20.8% | 1,849人 | 53.3% |
大学 | 6,600人 | 39.6% | 2,264人 | 34.3% |
高専 | 760人 | 4.6% | 264人 | 34.7% |
短大 | 234人 | 1.4% | 45人 | 19.2% |
その他 | 1,777人 | 16.7% | 533人 | 19.2% |
在学中 | 16.9人 | 16.9% | 1,278人 | 45.3% |
技術士 第二次試験
技術士第二次試験 最終学歴別 受験者データ(令和6年度試験) | ||||
---|---|---|---|---|
最終学歴 | 受験者数 | 全体比 | 合格者数 | 対受験者 合格率 |
大学院 | 9,514人 | 41.3% | 1,254人 | 13.2% |
大学 | 10,866人 | 47.2% | 954人 | 8.8% |
高専 | 893人 | 3.9% | 79人 | 8.8% |
短大 | 246人 | 1.1% | 13人 | 5.3% |
その他 | 1,524人 | 6.6% | 95人 | 6.2% |
出典:技術士試験 統計情報
表を見てみると、大卒以上の受験者が第一次試験の場合は約60%、第二次試験では約90%近くとなっています。

しかし、高卒にあたる「その他」の割合も第一次試験では16.7%、第二次試験では6.6%ので、高卒の受験者も一定数いることが分かるかと思います。
高卒で技術士を目指す3つの方法
高卒で技術士を目指すには、第二次試験を受験するための実務経験が必要だということが分かっていただけたかと思います。
では実務経験を積むにはどのような方法があるでしょうか。以下の3つの方法があります。
1. 第一次試験に合格して技術士補となり、実務経験を積む
まず一つ目は、技術士補に登録したのち、指導技術士のもとで技術士を補助しながら実務経験を積むという方法があります。総合技術監理部門は7年を超える実務経験を、それ以外の部門は4年を超える実務経験を積むと、第二次試験の受験資格が得られます。
技術士補とは、第一次試験に合格、または大学、高専で指定の課程を修了した方が登録できる資格です。高校は後者の指定学科の条件に含まれないため、必ず第一次試験を受験しなければなりません。

しかし、「指導技術士が身近にいない」「登録費用が負担」といった理由から、技術士補から第二次試験を受験する方は、現在非常に少ない状態ととなっています。
2. 修習技術者として実務経験を積む
第一次試験に合格後、修習技術者として職務上の監督者のもと、4年を超える(総合技術監理部門は7年超える)の実務経験を積むという方法もあります。
修習技術者は第一次試験に合格し、技術士補の資格を持つ方をいいます。そして、職務上の監督者とは、科学技術に関する実務経験が7年を超える人のことを指します。監督者は技術士である必要はないため、職場の上司でも監督者として認められます。
3. 7年を超える実務経験を積む
技術士補に登録せずに、修習技術者になる前を含めて7年を超える(総合技術監理部門は10年)の実務経験を積む方法です。
受験する前に実務経験が7年を超えている方や、指導技術士が周りにいない場合、この方法で第二次試験を受験することになります。
高卒から技術士へ!第一次試験の難易度とおすすめの勉強方法
高卒から技術士になるには、第一次試験を突破することが第一条件です。そこで第一次試験の難易度を踏まえ、おすすめの勉強方法を紹介します。
【令和6年度試験】技術士第一次試験の難易度
高卒で技術士を受験するにあたり、気になるのが試験の難易度です。
技術士の第一次試験は、大学の工学部や理学部の課程に相当するレベルといわれており、難易度は国家試験のなかでも高いとされています。
ここでは令和6年度の技術士各部門ごとの合格率を見ていきましょう。
技術士 第一次試験 合格率(令和6年度試験) | ||
---|---|---|
No. | 技術部門 | 合格率 |
01 | 機械部門 | 42.4% |
02 | 船舶・海洋部門 | 34.5% |
03 | 航空・宇宙部門 | 36.1% |
04 | 電気電子部門 | 36.8% |
05 | 化学部門 | 56.2% |
06 | 繊維部門 | 45.2% |
07 | 金属部門 | 34.4% |
08 | 資源工学部門 | 20.0% |
09 | 建設部門 | 35.8% |
10 | 上下水道部門 | 38.2% |
11 | 衛生工学部門 | 33.0% |
12 | 農業部門 | 31.7% |
13 | 森林部門 | 39.3% |
14 | 水産部門 | 43.8% |
15 | 経営工学部門 | 56.6% |
16 | 情報工学部門 | 54.8% |
17 | 応用理学部門 | 32.9% |
18 | 生物工学部門 | 50.4% |
19 | 環境部門 | 27.4% |
20 | 原子力・放射線部門 | 56.9% |
平均 | 37.4% |
出典:公益財団法人 日本技術士会 令和6年度技術士第一次試験統計

令和6年度の第一次試験の合格率をみると、部門によって差はありますが、全体をとおして約20%~60%です。つまり、しっかりと勉強すれば、高卒でも合格できるチャンスは十分にあります。
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高卒でも技術士は目指せます!
技術士の第一次試験は受験資格を設けていないため、高卒でも受験が可能です。
ただし、第二次試験の受験資格を得るには、ここで紹介した3つの方法のいずれかの条件を満たさなければなりません。
周囲に指導技術士や監督者がいる場合といない場合、もしくは実務経験年数を満たしている場合によって、受験資格を得る方法は異なります。これから技術士を目指す方は、実務経験の条件もしっかり把握しておきましょう。
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