電気工事施工管理技士は、多くの現場でおこなわれる電気工事の監視・管理をするための国家資格です。
電気工事施工管理技士は1級と2級の区分で分かれています。そして、就ける仕事の範囲や合格率が違うだけでなく、受験資格も異なります。
そこで今回は、1級と2級の違いについて解説します。資格の概要や受験資格についても詳しくみていきましょう。
目次
電気工事施工管理技士とは?
施工管理技士とは、現代社会に合わせて高度化・専門化・多様化の進む建設工事において建設技術の向上を目指すために定められた国家資格です。
この中でも電気工事に特化した資格が「電気工事施工管理技士」と言われています。
電気工事施工管理技士の仕事
電気工事施工管理技士は、発電設備や変電設備、送配電線設備を始めとした多くの電気設備における工事の施工管理が仕事です。
資格の種類として、1級と2級が定められていますが、それぞれの試験に合格することで、現場での役割を担った技術者として仕事に従事できます。
電気工事施工管理技士がおこなう施工管理は、工程管理・原価管理・安全管理・品質管理の4つを軸としており、仕事内容としては次のとおりです。
No | 仕事内容 |
---|---|
1 | 発注者との連絡 |
2 | 役所などへの書類申請の作成、申請 |
3 | 下請け業者の選定、工事日程や内容の指示 |
4 | 現場と周辺の調査 |
5 | 工程作成、工程管理 |
6 | 電気資材の発注 |
7 | 安全管理 |
8 | 電気施工図、電気工事の見積作成 |
9 | 打ち合わせの実施 |
上記が電気工事施工管理技士の主な仕事内容です。就ける仕事の幅が非常に広いため、電気工事に関する仕事に従事する方は積極的に取得を狙いましょう。
就職や転職で有利に働くのが最大のメリット
建設業界は、現在進行形で人手不足の問題を抱えています。施工管理技士についても、多くの企業が人材確保に対して積極的です。
そのため、電気工事の現場を監視・管理できる立場となる電気工事施工管理技士の資格は多くの企業から求められる人材と言えるでしょう。
また、電気工事をおこなうための資格である「電気工事士」と一緒に電気工事施工管理技士を取得することで、安定した職場で仕事に従事できます。
電気工事会社やゼネコンの設備管理課などへの就職や転職でとても有利に働くのが、資格を取得する最大のメリットです。
電気工事施工管理技士1級と2級の違い
電気工事施工管理技士は、1級と2級で従事できる仕事の規模や受験資格などが異なります。ここでは、1級と2級の違いについて詳しく見ていきましょう。
仕事内容
電気工事施工管理技士の仕事内容に大きな違いはありません。ただし、従事できる現場の規模が異なります。
2級では、一般建設業の営業所における「専任技術者」、現場ごとに設置される「主任技術者」として仕事に従事できます。
1級では、2級の範囲に加えて、特定建設業の営業所における「専任技術者」、現場ごとに設置される「監理技術者」として仕事に従事できます。
現場における役割は同じですが、就ける仕事の範囲が違うため注意してください。
合格率
電気工事施工管理技士の合格率について、みていきましょう。
実施年度 | 1級電気工事施工管理技士 | 2級電気工事施工管理技士 | ||
---|---|---|---|---|
第一次検定 | 第二次検定 | 第一次検定 | 第二次検定 | |
令和5年度 (2023年度) | 40.6% | 58.8% | 43.8% | 43.0% |
令和4年度 (2022年度) | 38.3% | 59.0% | 55.6% | 61.8% |
令和3年度 (2021年度) | 53.3% | 58.8% | 57.1% | 50.4% |
令和2年度 (2020年度) | 38.1% | 72.7% | 58.5% | 45.0% |
令和元年度 (2019年度) | 40.7% | 66.3% | 58.7% | 45.4% |
上記が過去5年間の実施データです。電気施工管理技士の合格率は実施年ごとに変動が激しいことがわかるかと思います。
合格率は1級と2級で大きな差は見られませんが、1級の方がより電気工事に関する深い知識が求められます。
受験資格
電気工事施工管理技士は、誰でも受験できる試験ではなく、1級と2級のそれぞれにおいて受験資格が存在します。
なお施工管理技士の受験資格は、令和6年度から大幅に制度変更されることになりました。
第一次検定に関しては、年齢制限のみのシンプルな受験資格になりました。以前まで2級に関しては年齢制限のみでしたが、今回の制度改正で1級でも年齢制限のみとなりました。
第二次検定では、以前までは1級2級ともに学歴によって実務経験の年数が細かく定められていましたが、新しい制度では試験合格後からの実務経験年数を問われるようになっています。
詳細は下記をご覧ください。
1級電気工事施工管理技士 受験資格
第一次検定 | 第二次検定 |
---|---|
19歳以上 (試験実施年度末において) | 1級一次検定合格後 2級二次検定合格後(1級一次合格者に限る) |
2級電気工事施工管理技士 受験資格
第一次検定 | 第二次検定 |
---|---|
17歳以上 (試験実施年度末において) | ① 2級一次検定合格後、実務経験3年以上 ② 1級一次検定合格後、実務経験1年以上 (①または②いずれか) |
技士補について
施工管理技士の第一次検定の合格者には、新規資格である「技士補」が付与されます。技士補が付与されると第一次検定が免除されて第二次検定を何度でも受験できます。
技士補になると監理技術者の配置義務が緩和されるといったメリットもあるため、電気工事施工管理技士を目指す方にとっては、大きなチャンスと言えるでしょう。
電気工事施工管理技士は、1級と2級どちらを取得するのがよいか
仕事の規模が大きいのは1級ですが、資格がない人はまずは2級から資格を取得するのがおすすめです。
もちろん1級の電気工事施工管理技士の方が就ける仕事が多く、年収面でも良いですが、受験するまでに長い実務経験が必要です。
まずは、2級を取得して現場で経験を積み、受験資格を満たしてから1級の取得を狙ってください。また、2級の実務経験を短縮するために「電気工事士」の資格を一緒に取得しておくと効果的です。
技術者としてのレベルアップも狙えるため、電気工事に関する仕事に従事する方は一緒に取得しておきましょう。
電気工事施工管理技士は通信講座での勉強がおすすめ
電気工事施工管理技士は、多くの電気設備でおこなわれる電気工事の監視・管理を担えるため、非常に需要の高い資格です。
受験資格が必要なので誰にでも受験できるわけではありませんが、他の電気資格も一緒に取得しておくことで期間の短縮を狙えます。
試験に向けての対策は、通信講座がおすすめです。電気工事施工管理技士は実務経験が必要なため、仕事をしながらの勉強を進めなければなりません。
通信講座ならスキマ時間でも勉強ができるので、忙しい人でも無理なく学習を進めることが可能です。