建築物環境衛生管理技術者(以下、ビル管理士)はビルの総合的な管理を行う職業です。
大規模な商業施設などでは、ビル管理士を必ず設置しなければならないことから、全国どのような場所でも一定のニーズがあります。また、ビル管理士を受験するためには、実務経験が2年必要です。
この記事では、そんなビル管理士の仕事内容についてみていきましょう。
目次
ビル管理士の仕事内容
ビル管理士は、設備管理・衛生管理を含めた総合的な管理を担います。
企業によって、ビル管理士であっても仕事内容が大きく変化する場合もあるものの、点検・管理業務の中心的存在として活躍するという点は変わりません。
また、ビル管理士になるための試験の合格率は10%〜20%程度であることから、ビル管理士になるためには容易ではありません。
ここでは、そんなビル管理士の具体的な仕事内容をみていきます。
電気・空調などの設備管理
ビルや商業施設の設備管理は、ビル管理士の業務内容に含まれます。
点検を行ったうえで、異常や故障がないかをチェックし、場合によっては業者に連絡することも業務の一環です。自分で修理する必要はないものの、現状をうまく人につたえるなどの能力が必要です。
廃棄物処理などの衛生管理
ビル管理士が廃棄物処理を行う必要はないものの、業者と連携をとり、施設の衛生環境を整備することも業務となっています。
仮に貯水庫に異常があった場合には、ビル管理士が連絡し、施設内の衛生管理を行うことも業務の一環です。
害虫・害獣の駆除
パターンとしては少ないものの、施設内の衛生管理の一環で害虫・害獣の駆除などもビル管理士の担当です。直接、実行することは殆どないものの、業者に依頼する役目はビル管理士が担います。
ビル管理士の仕事内容は多岐にわたりますが、直接何かを修理することはあまりありません。
しかし、異常があった場合は報告を行うだけでなく、他者と連携をとり、課題を解決していく業務といえるでしょう。
ビル管理士の仕事内容の魅力と大変な面
ビル管理士の業務内容は多岐に渡り、所属する企業によって管理する建物が大きく異なります。ここでは、ビル管理士の魅力と大変な面を詳しく見ていきましょう。
ビル管理士の魅力は何処にあるのか
ではビル管理士の仕事の醍醐味はなんでしょうか?それを知ることで勉強のモチベーション維持にもつながります。詳しく解説していきます。
コミュニケーション能力やスケジュール調整能力が身につく
ビルや商業施設などの大規模な施設は、電力や空調、水質などに異常があった場合、多くの人に悪影響を及ぼします。そのため、ビル管理士は各業者やオーナーなどと話し合いを繰り返すため、コミュニケーション能力とスケジュール管理能力が身につきます。
資格の取得による給料の上昇
ビル管理士は取得する難易度が高いため、殆どの会社では資格手当を給付しています。年間で数十万円単位で給料が変化する場合もあるため、会社からも評価されやすくなるでしょう。ビル管理士は夜勤もあるため、夜勤ができる人はさらに給料は上がるでしょう。
業界問わず転職できる
ビルや商業施設の管理者は、業界を問いません。理由として、多角的な経営が進んでおり、一見関係なさそうな会社がビルのオーナーであるケースも見られます。
例えば、大手企業の系列会社などに転職した場合、地場の会社よりも福利厚生が優れているパターンが非常に多いといえるでしょう。資格を取得できた場合、既に実務経験を有していることから、転職する場合も非常に有効な判断材料となります。
ビル管理士の仕事の大変な面
一方で大変な面はなんでしょうか?詳しく解説していきます。
コミュニケーション能力が必須
先ほど、ビル管理士はコミュニケーション能力が身に付くということを触れましたが、逆に言えばコミュニケーション自体が苦手な人は苦労するかもしれません。
空調・衛生設備などを管理する上で、知識として学習していてもビル管理士は修理まで行うことができません。そのため、ビル管理士には各所と連携をとるコミュニケーション能力が非常に大切になります。
何をどこまで監督・管理するのか会社によって違う
ビルや商業施設などの管理を担うのがビル管理士の業務内容です。しかし、所属する企業によって複数個所を管理するのか、一ヶ所だけを管理するのかなどの体系が異なります。
また、会社によって何をどこまで管理するのか異なるため、給料と業務量のバランスはビル管理士にとって悩みどころだといえるでしょう。
管理者としてクレーム処理もあり得る
ビル管理士は、管理会社に所属していることからオーナーや業者などからクレームを受ける可能性があります。
そのため、ストレス耐性が無ければ仕事を継続する可能性は難しいといえるでしょう。どうしても中間管理者であるため、クレームが集中しやすい面があるという点はビル管理士の大変な面です。
ビル管理士の仕事内容と年収の関係性
仕事の魅力と大変な面両方を見てきました。それを踏まえてビル管理士の資格を取るかどうか悩んでいる人の背中を押すであろう年収について詳しく解説していきます。
ビル管理士の一般的な年収
ビル管理士の年収を見てみると、400万円から500万円程度が非常に多いといえます。しかし、企業によってはそれ以上の年収で募集している場合もあり、企業によって大きく年収が異なるといえるでしょう。
また、ビル管理士の取得者であることに加え、第三種電気主任技術者(電験三種)やエネルギー管理士
などの関連資格を保有すれば、年収は向上しやすくなります。
なお、この2資格+ビル管理士の計3資格を合わせて「ビルメン三種の神器」と呼ばれることがあります。
年収と資格に関しては所属する企業によって大きく異なるため、年収の向上を目指す場合は会社の今後や業務内容を含めて考慮しましょう。
資格の有無と年収の差
ビル管理士は、資格がなければ数百万円単位の差が生じることも少なくありません。例えば、ビル管理士と電気主任技術者の資格を有している人と何も資格を有していない人では年収に大きな差が生じる可能性が非常に高いといえます。
また、転職の際には経験年数も大切ではありますが、保有資格の種類や数を前提として判断されることが多いといえます。そのため、実務を行いながら、関連資格を取得していかなければビル管理士としての年収は変化しにくい状況です。
ビル管理士の仕事に向いてる・向いていないを判断するポイント
ビル管理士の仕事内容は、施設の総合的な管理です。そのため、ビル管理士のみでは業務を完結できないことも少なくありません。また、資格取得の前提条件として経験年数が必要であるため、ビル管理士の仕事内容次第では経験年数を満たす前に失業することになります。
向いている人の特徴と判断ポイント
衛生管理や設備管理を行うとともに、人にコミュニケーションを取ることに苦痛を感じない場合は、ビル管理士に向いているといえます。また、コミュニケーション能力がある、細かい所に気が付く、スケジュール管理能力がある、などは向いている場合の判断ポイントとなります。
向いていない人の特徴と判断ポイント
コミュニケーションを取ることに苦痛を感じる、毎日の繰り返しに飽きを感じる場合などは向いていない人の特徴としてあげられます。特に何かを作りたい、クリエイティブな思考を持つ人などは、ビル管理士の仕事内容では満たすことは難しいといえるでしょう。
ビル管理士の資格を通信講座で取得しよう
ビル管理士は、施設内の水質・空調・電気などの幅広い設備の点検・管理を行う業務です。所属する企業によって、年収・資格手当の有無など細かい違いがあるため、十分な経験年数と資格を所持している場合は転職なども視野に入るでしょう。
実際にビル管理士の資格を検討している方も多くいると思いますが、実務経験を積む必要があるビル管理士の勉強には、通信講座がとても相性がいいです。
通信講座は学校に通うことなく、動画教材や独自のテキストなどを使い学習します。オンラインの動画学習であれば、通勤の電車の中でも勉強ができるので、働きながら勉強する社会人にもピッタリだといえます。
ビル管理士は合格率が低いですが、需要はとても大きい資格です。
勉強は大変ではありますが、ぜひ頑張って取得を目指してみてください。