2級ボイラー技士免許試験では、ボイラーを扱う際に重要となるポイントを中心に出題されます。
そのため同じような問題が繰り返し出題される傾向にありますので、合格には過去問題を繰り返し演習することが欠かせません。
この記事では、2級ボイラー技士の過去問題にはどのようなものがあるか、またおすすめの過去問題集や通信講座での勉強方法についても解説します。
目次
2級ボイラー技士の出題内容
2級ボイラー技士の出題内容は、以下の通りとなっています。
試験科目は以下の4項目に分かれており、それぞれの出題数は10問、配点は100点ずつです。
試験科目 | 試験範囲 |
ボイラーの構造に関する知識 | 熱及び蒸気、種類及び型式、主要部分の構造,附属設備及び附属品の構造、自動制御装置 |
ボイラーの取扱いに関する知識 | 点火,使用中の留意事項,埋火,附属装置及び附属品の取扱い、ボイラー用水及びその処理、吹出し,清浄作業、点検 |
燃料及び燃焼に関する知識 | 燃料の種類、燃焼方式、通風及び通風装置 |
関係法令 | 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生規則中の関係条項、ボイラー及び圧力容器安全規則、ボイラー構造規格中の附属設備及び附属品に関する条項 |
上記を見て分かる通り、幅広い範囲から出題されます。
ただし解答方法はマークシート方式であり、5つの選択肢の中から1つを選べばよいため、身構える必要はありません。また試験時間は3時間で、休憩なしで一気に行われます。
試験の合格ラインは6割ですから、24問以上正解で合格となることが基本です。
ただし、どの試験科目も4割以上正解しなければなりません。
そのため3問以下しか正解出来ていない科目がある場合には、自動的に不合格となってしまうので注意が必要です。
まとめると、「各科目で4割以上かつ全体で6割以上の得点」が合格の基準となります。そのため各科目とも満遍なく勉強する必要があります。
2級ボイラー技士の過去問題例と解説
以下に示す過去問題は、平成31年4月に「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」の公式サイトで公表された問題です。
ここではその平成31年4月公表問題より各科目につき1問を選び、問題例と解説を示します。
「ボイラーの構造に関する知識」の問題例
ボイラーに空気予熱器を設置した場合の利点として、正しいものは次のうちどれか。
(1)ボイラーへの給水温度が上昇する。
(2)乾き度の高い飽和蒸気を得ることができる。
(3)通風抵抗が増加する。
(4)燃焼用空気温度が上昇し、水分の多い低品位燃料の燃焼に有効である。
(5)窒素酸化物の発生を抑えられる。
正解は(4)です。
空気予熱器はボイラーに送り込む空気の温度をあらかじめ上昇させることにより、燃焼効率を高める装置です。このため水温や蒸気の乾き度と直接の関係はなく、通風抵抗にも悪影響を及ぼしません。その一方で、窒素酸化物は増えてしまいます。
2級ボイラー技士において、「正しいもの」の選択肢を問う問題は意外と少ないことが特徴です。
したがって、問題をよく読んで解答することが重要です。
「ボイラーの取扱いに関する知識」の問題例
ボイラーの運転を終了するときの一般的な操作順序として、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。ただし、A~Eは、それぞれ次の操作をいうものとする。
A 給水を行い、圧力を下げた後、給水弁を閉じ、給水ポンプを止める。
B 蒸気弁を閉じ、ドレン弁を開く。
C 空気を送入し、炉内及び煙道の換気を行う。
D 燃料の供給を停止する。
E ダンパを閉じる。
(1)A → B → C → D → E
(2)B → C → A → E → D
(3)C → D → E → A → B
(4)D → A → B → C → E
(5)D → C → A → B → E
正解は(5)です。
ボイラーの運転を止めるためには、燃料の供給を止めることが最初の手順となります。換気を行った後にやるべきことは、ボイラーの圧力を下げることです。この通りの手順になっている選択肢は(5)だけです。
試験では上記のように操作手順を問う問題も出題されますから、きちんと覚えておく必要があります。
またこの問題はボイラーを扱う基本的な項目であるため、平成26年後期の公表問題で同一の出題がされています。
「燃料及び燃焼に関する知識」の問題例
ボイラーにおける燃料の燃焼について、誤っているものは次のうちどれか。
(1)燃焼には、燃料、空気及び温度の三つの要素が必要である。
(2)燃料を完全燃焼させるときに、理論上必要な最小の空気量を理論空気量と
いう。
(3)燃焼ガスの成分割合は、燃料の成分、空気比及び燃焼の方法によって変わ
る。
(4)微粉炭を燃焼させる場合の空気比は、一般に気体燃料を燃焼させる場合よ
り小さい。
(5)排ガス熱による熱損失を小さくするためには、空気比を小さくし、かつ、
完全燃焼させる。
正解は(4)です。
微粉炭は気体燃料と比べて、燃焼させる際の空気比はやや大きくなっています。
試験では上記のように、「誤った選択肢を選ぶ」問題が思いのほか多いです。
そのため、問題文と選択肢をよく読んだ上で解答することが欠かせません。
「関係法令」の問題例
次の文中の[]内に入れるAの数値及びBの語句の組合せとして、法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「設置されたボイラー(小型ボイラーを除く。)に関し、事業者に変更があったときは、変更後の事業者は、その変更後[A]日以内に、ボイラー検査証書替申請書に[B]を添えて、所轄労働基準監督署長に提出し、その書替えを受けなければならない。」
選択肢 | A | B |
(1) | 10 | ボイラー検査証 |
(2) | 10 | ボイラー明細書 |
(3) | 14 | ボイラー検査証 |
(4) | 30 | ボイラー検査証 |
(5) | 30 | ボイラー明細書 |
正解は(1)です。
ボイラー及び圧力容器安全規則第44条に記載されていますから、条文を確認しておきましょう。
試験では上記のような穴埋め問題も数問出題されますから、正しい値や数字、用語などをしっかり覚える必要があります。
2級ボイラー技士のおすすめ過去問題集
ここからは、おすすめの過去問題集をご紹介します。公式サイトで公開されている過去問題には解説はありませんので、別途解説が記載された過去問題集を用意して学習すると良いでしょう。
詳解2級ボイラー技士過去問6回問題集
この問題集はコンデックス情報研究所(編著)、成美堂出版から発行されています。
解説がとても豊富で、選択肢ごとに「なぜ正解か、なぜ誤りか」という理由を丁寧に説明していることが特徴です。このため、間違った問題に対しても実力アップへつなげることができます。設問ごとに重要度が3段階で示されていることも、特色の1つです。
この問題集だけで勉強しても、合格点にたどり着くことは可能ですが、公表問題は過去に出題された問題の抜粋であり、これ以外の問題も出題されていることを忘れてはいけません。
二級ボイラー技士過去問題・解説集
この問題集は、タカラライセンスから発行されています。
特徴はなんといっても過去問題の豊富さで、過去10回分の問題と解答・解説が掲載されています。2級ボイラー技士の試験では同じような問題が繰り返し出題される傾向があるため、多くの過去問を解くことは試験対策の手段として有効です。
一方で注意すべき点に、問題の解説は簡素であることが挙げられます。2級ボイラーには参考書も数多く出版されているので、じっくりと解説が読みたい方場合は、過去問題集ではなく参考書から手に取るのも良いでしょう。
2級ボイラー技士の勉強は通信講座もおすすめ
これまで解説した通り、2級ボイラー技士免許試験は過去問と同一、あるいは似た問題が繰り返し出題される傾向にあります。
これらはボイラーを扱う上での重要テーマですから、過去問を繰り返し解くことは試験対策として有効です。できれば実力をアップするためにも、解説が豊富な問題集を選ぶとよいでしょう。
勉強方法は過去問題集や参考書を使うだけの独学でも構いませんが、2級ボイラー技士試験をもっと確実に合格をする方法があります。
それは、SATの「2級ボイラー技士」講座を利用することです。
SATではボイラーに関する装置など、フルカラーのイラストを多く取り入れているため、見やすくわかりやすいことが特徴です。
加えてDVDやEラーニングといったオンラインの動画教材により、理解を深めることができます。
「1回で必ず合格したい」方は、ぜひSATの「2級ボイラー技士講座」もご検討ください。