海外市場への進出は、企業に新たな成長機会を提供し、競争力を向上させる重要な戦略です。
コロナ終息後海外に進出する日系企業は増加しており、企業を成長させる重要な戦略の1つとして検討すべきです。
ここでは、日系企業の海外進出とその目的、進出のメリット、海外進出で必要な事項、海外進出業務フロー、海外進出とそのリスクとその対策等について解説します。
目次
日系企業の海外進出とその目的
コロナ禍が収束し、世界各国が本格的に経済活動を再開しました。それにともない、日系企業の海外進出の検討も加速しています。
日系企業が海外進出をする目的としては主にマーケットの拡大と生産コスト削減の2つです。
進出を検討する際には、経営戦略における海外進出の位置づけを明確にし、何をどのように実行するのか、どのような結果が出れば成功なのか等の検討を重ね、経営戦略上海外進出が必要であるという結論にいたった場合に進出を決定することになります。
海外進出のメリット
海外進出するメリットをいくつか紹介します。
マーケットの拡大
日系企業が海外進出を検討する最大の理由は、マーケットの拡大です。
縮小傾向にある日本国内市場に対して、新興国を中心に海外市場には勢いがあり、人口および所得の増加とともにマーケットとしての魅力度が増大します。
生産コストの削減
二番目の海外進出のメリットは、生産コストの削減です。
発展途上国は人件費が低く、材料や部品を当該国に持ち込み生産し、日本や欧米に輸出するビジネスモデルが成立します。また英語でのコミュニケーションが可能であるインド等の国ではIT企業などで開発コストの削減等を理由に進出しているケースも多く見受けられます。
海外人材の登用
海外進出のメリットの1つに、海外人材の登用があります。
東南アジアを始めとした「親日国」においては日本での留学経験がある人材が多数おり、日本本社でこれらの人材を雇用し、日本本社の技術やノウハウを身につけ、経営理念を共有し、かつ現地の文化や価値観に精通した人材が現地法人に赴任することで、本社との意思疎通の円滑化が期待できます。
海外進出で必要なこと
海外市場に進出し成功するするためには、以下の事項について慎重に検討し、海外進出業務フローに従い調査しステップ・バイ・ステップで意思決定します。
進出候補国がいくつかある場合には、様々な角度から各国の事情を比較、検討します。また現地を訪問し自分の目で見て確認することが重要です。
市場調査
進出先の市場規模、競合状況、消費者ニーズ等を把握しますが、長期的に収益をあげられるかの経営判断のできよう客観的な資料を取りまとめ、総合的に評価のできる事業化可能性調査(F/S)を行います。
外資規制の理解
各国の法規制やビジネス慣習を理解し、自社のビジネスが進出候補国で可能かを調べます。また、多くの国で外資規制があり、進出が可能としても合弁が必須となっている業種もあります。
進出国調査
政治・経済の安定度、日系企業や外資系企業の進出状況や、港湾・道路・電力・インターネット等を含むインフラの整備状況、人件費と労働者の質等詳細を調査し、事業化可能性の裏付けを取ります。
現地パートナーの選定
単独進出の場合でも現地パートナーは必須です。現地の文化・慣習やビジネス環境等は日本人では理解しがたいものもあり、現地事情に通じたパートナーを見つけることで、スムーズな進出が可能になります。
資金調達
海外進出は大きな投資でありリスクを伴います。十分な資金を確保し、進出計画を実行するための財務基盤を整えることが重要です。調査結果は「海外進出計画書」に取りまとめ、定性面・定量面で十分な担保があることを示し、海外進出を成功に導いていきます。
海外進出業務フロー
海外進出業務フローは、海外進出を検討する際に必要となる各種の業務の関連と流れを可視化し、わかりやすくした業務体系図です。
この業務フローを用いることで、複雑な海外進出業務を効率的にこなすことが出来ますし、関連部署や関係者の教育に役立てることができ、また業務の引継ぎを円滑に行える等のメリットがあります。
海外進出のリスクとその対処策
海外進出には多くのリスクが伴いますが、進出計画検討時から様々なリスクを想定し、リスク対処策を検討しておくことが大切です。ここからは、主なリスクとその対処策を紹介します。
政治リスク
日本と比べると発展途上国は政治的な不安定さが高く、政変により海外投資の変更に迫られるということは往々に発生します。
海外進出検討に当たっては現地事情を十分に収集し、撤退を含むリスク対処策を進出検討時から用意する必要があります。
経済的リスク
為替変動や人件費を含む事業運営コストの上昇等が現地におけるビジネスに大きく影響を与えます。
発展途上国への進出は安価な人件費により製造コストの削減を狙って行われることが多いですが、進出国の経済発展とともに人件費も急激に上昇し、5年程度で人件費メリットが消失するということもあります。
コスト増加を見込んだ事業計画を策定し様々なケースを想定しておくことが大切です。
法規制リスク
進出受け入れ国は海外からの投資を推奨し減税等の恩典を用意していることが多いですが、現地企業を保護するために投資規制も実施しています。
海外進出業務フローにおいてこれらの投資優遇策と規制策について詳細に調査し、投資の実行可能性を検証することが大切です。
また現地情勢に詳しい専門家やコンサルタントに相談し、リスクを最小限に抑えることが求められます。
労務・社内管理リスク
海外は完全な契約社会であり、日本流の「阿吽の呼吸」や「言わなくてもわかるだろう」は通じません。
工場開設や営業開始等の準備に追われ、就業規則や職務権限規程および人事管理マニュアル等の規定の制定が後回しになり、後々大きな問題になることがあります。
また海外では転職も当たり前であり、人材の定着策も海外進出検討時から検討しておく必要があります。
より詳しく学ぶためにはSATの技術者スターター講座がおすすめ
海外市場への進出を成功させるためには、まず海外進出検討に係る基礎的知識を習得することが大切です。
SATの技術者スターター講座100「海外進出」では、海外進出(海外での会社・工場の設立等)を開始しようとする日本企業の皆さまへ向けて、事前に確認すべきポイント等を海外進出業務フローの各ステップに従い丁寧に解説します。
この講座には以下の特徴があり、講義とケーススタディを通じて実践的な知識体系が習得できます。
- 海外進出について、講師の現場経験に基づいた実践的な内容を解説します。
- 前提知識を必要とせず初歩のレベルから解説しますので、初心者や入門者にもわかり易い講座です。
- 図表を多用して説明しますので、効果的・効率的な理解が進みます。
- ケーススタディ(インド)がありますので、応用能力が付きます。
また、この講座は海外進出に関する知識を学ぶことにより、次のようなスキル習得を目指します。
- 海外進出に関する知識を習得し、進出計画が作成できるようになる。
- ターゲットとする現地市場に通じ、カウンターパートと円滑にコミュニケーションが行え、海外進出計画の策定と実施ができるようになる。
- 海外進出に関し不足する経営資源について対処策を検討・構築できるようになる。
- 海外進出に関するリスクを認識し、適切なタイミングでリスク回避策を検討・実行できるようになる。
講座は以下の9章から構成されていますが、空き時間や短かい時間を活用して学べるよう工夫されています。
0章 序章
1章 海外進出目的の明確化
2章 進出計画案の策定
3章 国内での予備調査
4章 現地調査
5章 最終的な意思決定
6章 リスク分析と撤退基準
7章 海外進出ケーススタディ【インド】
8章 海外進出計画のフォーマットと書き方
海外市場に興味がある方や、実際に海外進出を検討されている方にはピッタリな講座となっています。24時間いつでもオンラインで学べるできる講座なので、この機会にぜひご受講ください。