安全管理とは、文字どおり職場が組織だって労働者の安全を確保するために行う活動の総称です。安全管理と共に衛生管理を行なう場合は、安全衛生管理と呼ばれる場合もあります。
安全管理を適切に行っていれば、労働災害を防ぎ、安全かつ快適に仕事ができるため、労働者はもちろんのこと、会社のメリットも大きいです。
本記事では、職場で安全管理が必要な理由や方法、安全管理に関わる主な資格を紹介します。
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目次
職場で安全管理が必要な理由
製造業を中心とした多くの職場で、安全管理が必要とされています。職場によっては衛生管理も同時におこなうため、安全衛生管理と呼ばれる場合もあるでしょう。
ここでは、職場で安全管理が必要な理由を紹介します。
事故や健康被害を予防して対策を立てるため
安全管理は、事故や健康被害を予防するだけでなく事故等が発生した場合の対策を立てるために必要です。
例えば、高所で作業する必要がある仕事では、安全管理の一貫として命綱をつけます。取り扱い方を間違えると、健康被害が発生する恐れがある物質を扱う職場では、扱い方を従業員に教える必要があります。
これらは、すべて安全管理の一環です。安全管理を怠って事故が起これば命を失う危険があるのはもちろんのこと、命を取り留めても後遺症が残って仕事が続けられない恐れもあるでしょう。また、人材が失われれば企業にとっても大きな損失です。
このほか、安全管理は事故が発生した場合の対策を立てるためにも重要です。安全管理を行なっていても、完全に事故や健康被害の発生を防ぐことはできません。
しかし、安全管理をしていれば、事故が発生した場合の対策も立てられます。万が一事故が発生しても、対策を立てていれば素早く対処できます。
安全意識の向上
危険を伴う仕事でも、毎日続けていれば危機意識が低下していきます。また、新しい従業員が入社してくる度に安全に仕事をするために守らなければならない規則や注意事項を伝える必要もあります。
危機意識の維持や新人教育をすべて現場に任せていれば、いずれは形骸化する恐れもあるでしょう。職場が意識して安全管理を行い、安全教育や危機管理の教育を行う必要があります。
労働者が安全に働くための環境維持
安全に仕事ができるように仕事場の設備を整えたり、仕事の手順を変えたりすると仕事の効率が落ちる場合もあります。そのため、職場によっては「効率を上げる」などの理由を付けて、安全管理をおろそかにする恐れもあるでしょう。
安全管理をおろそかにした結果、大規模な事故が発生した事例はたくさんあります。 企業側も安全管理を常に行なうことで、重要性と必要性を認識できます。
安全管理の具体的な方法
ここでは、安全管理とは具体的にどのような仕事をするのか、主な事例を紹介します。 安全管理をより深く知りたい方は、参考にしてください。
安全管理教育
安全管理教育とは、職場の安全を維持するために行う教育の総称です。
安全管理教育は多岐にわたり危険な作業をしている方や、危険な物質を取り扱って仕事をしている方が定期的に受けるもの、新人の従業員を対象とした教育などが挙げられます。
安全管理教育は、自社の従業員が行う方法、講習会に参加する方法、講師を自社に招いて講義を受ける方法などがあります。職種によっては講習の受講が義務づけられているものもあるので、確認が必要です。
安全衛生体制の構築
労働安全衛生法では、常時雇用する労働者数が50人、もしくは100人以上の職場は安全委員会を設置することが定められています。50人以上に設置が義務づけられている職場は林業、鉱業、建設業、製造業の一部、運送業の一部、自動車整備業、機械修理業、清掃業等です。
それ以外の職業は100名以上の従業員が常時雇用している場合に設置が義務づけられています。また、衛生委員会は職種問わず常時雇用されている従業員が50名以上の職場に設置が義務づけられており、職場の規模によっては両方の機能を併せ持つ「安全衛生委員会」の設置が必要です。
安全衛生委員会は、総括安全衛生管理者、安全管理者・衛生管理者・さらに産業医など決められた資格を持った方や研修を受けた方で構成されなければなりません。したがって、従業員が50名以上いる会社は、安全管理者や衛生管理者等を常時雇用しておく必要があります。
安全衛生調査を定期的に行う
安全衛生調査とは、安全対策の実施状況や有効性を確認するための調査です。
労働安全防止協会など外部の組織から調査を受ける場合もあります。調査を受けた結果改善が必要な場合は、安全委員会等で改善策を話し合います。
職場の安全管理に関わる資格
職場の安全管理に関わる資格には、以下のようなものがあります。
安全管理者:講習を受ければ取得可能
衛生管理者:国家資格であり、一定の実務経験を積んだ後に試験に合格すれば取得可能
労働安全コンサルタント:国家資格、依頼に応じて労働安全に関するコンサルティング業務が可能
消防設備士:消防設備の設置や点検が行なえる
ここでは、主に安全管理者と衛生管理者について解説します。
安全管理者
安全管理者は、前述したように50名、もしくは100名以上の従業員を常時雇用している会社には、設置が必要です。労働安全衛生法第11条でも専任することを義務づけています。
安全管理者は、安全管理者選任時研修を受講すれば取得できます。試験などは設けられていません。しかし、2~7年産業安全の実務に従事した経験が必要です。実務経験は学歴によって異なり、大学で理科系統の学科を修めて卒業した場合が最も短くなっています。
衛生管理者
衛生管理者は、常時50名以上の従業員を雇用している場合は専任が義務づけられている国家資格です。一種と二種があり、一種は全ての職種の事務所において衛生管理者としての仕事ができます。
二種は、小売業をはじめとした危険度の低い職種で衛生管理者の仕事ができます。衛生管理者は、一定期間衛生管理に関する仕事の経験を積んだうえで、試験を受けて合格すれば取得可能です。試験は毎月行われるので、国家資格の中では取得しやすい部類です。なお衛生管理者の合格率は一種二種とも例年50%前後となっています。
その他の安全管理に関わる資格について
労働安全コンサルタントは、会社の求めに応じて労働安全に関するコンサルティング業務を行なえる資格です。一般的なコンサルティング業務を実施するために特別な資格は必要ありません。
しかし、労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタントは、国家資格です。資格を取得しないと労働安全及び労働衛生コンサルティング業務は行なえません。
消防設備士は、文字通り消防設備の設置や点検が行える資格です。職場の安全管理のために必須な資格ではありませんが、有資格者が職場にいればコスト削減につながります。
安全管理教育を行いたい場合はSAT PROの利用が便利
従業員が50名未満の職場であっても、安全管理教育が必要な場合も珍しくありません。 しかし、職場に安全管理教育が行える人材がいない場合もあるでしょう。
そのような場合、企業と専任講師をマッチングさせるSAT PROの利用がおすすめです。 企業が求める知識、資格、講習を受けたい日時などを入力すれば、条件に合った専門講師をマッチングできます。自社に講師を招いて講義をしてもらいたい場合はおすすめです。
まとめ:安全管理・衛生管理は職場での教育が必要
安全管理・衛生管理は安全・安心に仕事をするうえで重要です。50名以上が所属している職場ならば、安全衛生管理者、衛生管理者が専任されているので教育も任せられます。
しかし、50名未満の場合は専任が義務づけられていないので、安全教育・衛生教育をおこなう場合は当社のシステムを使って専門知識を持つ講師とマッチングし、自社に招いて講義を受ける方法もおすすめです。