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デジタル回路とは?基礎から設計までを解説

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デジタルとは、アナログでできた現実世界を離散化し、それを符号化したものです。

デジタル回路は、デジタル符号を電気信号で表現し、それによってさまざまな処理を行う電子回路です。現代社会の営みに不可欠な通信、放送、交通機関、産業機器、家庭用電化製品などでは、すべてデジタル回路が利用されています。

ここでは、このデジタル回路の基礎を学ぶとともに、各種半導体の活用について解説します。

デジタル回路とは

デジタルとはアナログでできている現実世界を区切って(=離散化)、それぞれに名前をつけた(=符号化)ものです。

電気信号はアナログなので、多くの場合2つの区分(2値)に離散化することによりデジタル符号を表現します。例えば、2つの値には数字として扱うための’1’と’0’や、電気信号の’H’と’L’、論理の’真(T)’と’偽(F)’といった符号を割り当てます。

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こうした2値に離散化した電気信号を扱う電子回路がデジタル回路です。

デジタル回路が使用されている例

デジタル回路は今や情報処理(IT)から通信、放送、交通機関、産業機器、家庭用電化製品などすべてで用いられています。

エレクトロニクスのあるところには必ずデジタル回路がある、と言っても過言ではありません。

このようになった背景には、半導体技術とデジタル回路の相性がきわめて良好であることと、存在を抽象化・仮想化できる強力なデジタル世界の進化があります。両者が相まって加速度的に進化することで、もはやデジタル世界とすら認知されず深く我々の生活にデジタル回路は浸透しています。

端的な例はスマートフォンです。電話で会話し、メールを送り、SNSに投稿し閲覧する。写真を撮りそれを整理し、世界で共有する。動画を視聴し、自分で制作する。自分の位置を知り、目的地にナビゲートされ、さまざまなものの情報をインターネットで検索する。これらサービスを実現しているのはすべてデジタル回路なのですが、利用者がそれを意識することはほとんどありません。

加えて、アナログが利用されてきたサービスをデジタル化してゆく流れが続いています。2011年7月24日にアナログTV放送が終了し地上波デジタル放送に統一されたのはご承知の通りですが、2024年12月1日には簡易無線(350MHz, 400MHz帯)のアナログ方式が仕様できなくなります。

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多くの企業や政府機関などで取り組まれているDX(デジタルトランスフォーメーション)は、こうした流れを如実に示していると言えるでしょう。

アナログ回路との違い

それではアナログ回路は絶滅したのでしょうか。いえ、むしろ逆にアナログ回路はデジタル回路を活かすために不可欠な存在です。

なぜなら現実世界はあくまでアナログでできているので、アナログを扱える回路が2値に離散化してデジタルに変換し、また2値に離散化されたデジタルを再びアナログに変換しなければデジタル回路が役に立たないためです。

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ゆえにデジタル回路が増えるほど、それに比例してアナログ回路の重要性も増加しているのです。

現在の一般的なシステムではデジタル回路が中心となって機能実現のための処理を行っており、それを現実のアナログ世界へつなげるためにアナログ回路が用いられているのです。

電子回路として見ると、アナログ回路とはトランジスタなどの素子の電気特性をできる限り広範囲に利用する技術であり、逆にデジタル回路は電気特性をできる限り制限して利用する技術と言えるでしょう。素子は本来アナログ的な電気特性を持っていますので、デジタル回路は素子を2値に離散化された信号へ特化させて利用しています。

デジタル回路を学ぶメリット

上述のとおり、エレクトロニクスといえばデジタル回路というのが現実であり、デジタル回路の知識がなければとんどのエレクトロニクス製品は設計や保守をすることができません。

さらに現在のデジタル回路は、複雑で大規模な半導体製品(ASSP, SoC, MCU, FPGAなど)を利用するのが一般的です。これら製品を理解し使いこなすには、少なくとも基礎的なデジタル回路の知識を習得したのちにさらなる専門的な知識を学ぶことが重要です。

しかしながら、現状では多くのエンジニアがデジタル回路の基礎知識がほとんど無いか、学生時代の講義の記憶程度しか持たないまま、デジタル回路の設計や保守に関わっている現場が少なくありません。

現場で基礎からの教育を行う時間的・工数的余裕もなく、教育ができる人材も不足しているのが実態です。

こうした場合、経験の浅いエンジニアはしばしば前例を踏襲しながらつど先輩エンジニアのアドバイスを頼りに仕事を進めてしています。

しかしながらこうした対応では、最新技術や半導体製品を使いこなすのはもちろんのこと、画期的な製品や機能を実現するのは絶望的と言えるでしょう。

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デジタル回路を基礎から学び、さらなるエンジニアとしての成長を目指すことで、この閉塞的な状況を打破することができます。

デジタル回路でよく使う言葉の概要解説

ここからはデジタル回路でよく使う言葉について、概要を解説していきます。

デジタル信号

アナログ電気信号を2値化したもの。離散化する基準値が閾値(スレシホールド)

2進数

デジタル信号に1と0を割り当て、2nで位取りされた数値。例:1101 = 23×1+22×1+21×0+20×1 = 13

ブール代数

デジタル信号に真(T)と偽(F)を割り当てブール変数とし、論理演算(NOT, AND, ORなど)を行う

論理回路

ブール代数の演算を行う電子回路

C-MOS

最小単位が2つのトランジスタで構成されるコンパクトで低消費電力の回路構成

クロックと同期回路

複数の論理回路を統一的に動作させる信号がクロック。クロックを基準信号とするのが同期回路

ハードウェア記述言語

回路を直接記述するのではなく、抽象度の高い機能や動作で記述する言語。プログラムに似ている

データシート

半導体製品の電気的特性や概要、外形、納品形態などが記載された仕様書

汎用品、カスタム品

半導体メーカーが企画・開発した製品が汎用品、ユーザの要求仕様で開発した製品がカスタム品

FPGA

開発現場や動作環境においてユーザが回路を変更できる製品。製品としては汎用品となる

MCU(マイコン)

コンピュータに必要なCPU, メモリ, 周辺回路を1チップにしたもの。ユーザがプログラムを変更できる

SoC(System on a Chip)

高性能のCPUと用途に特化した周辺回路を内蔵した製品。スマートフォンやPC等に用いられる

デジタル回路についてより詳しく学ぶためには

現状、デジタル回路の基礎を学ぶ方法は概ね以下の3つに分類できます。

  1. 専門書、雑誌、インターネットによる独学
  2. 半導体メーカー、商社等の講習
  3. 学校、教育機関による講習

これらを教育内容により基礎的知識、応用分野の知識、最新知識にて整理すると、以下のような得失が考えられます。

学習方法

基礎的知識

応用分野の知識

最新知識

1.専門書、雑誌、インターネットによる独学


可能だがモチベーション維持が課題

×
難易度が高い

×
情報入手が困難または詳細すぎる

2.半導体メーカー、商社等の講習

×
習得済み前提のケースも多い


自社に偏っている


自社に偏っている

3.学校・教育機関による講習


情報古い場合もあり


情報無い場合もあり

×
情報入手が困難

1. 専門書、雑誌、インターネットによる独学

専門書、雑誌による独学や学校・教育機関による講習は、基礎的知識の習得に適しています。しかしながら、しばしば専門書(教科書)、雑誌の内容が長年更新されていないことや、背景や本質に言及せず知識を詰め込む傾向があります。

また、独学では質問もできず理由を推測するしかない状況が多々あり、自らのモチベーションを維持するのがしばしば困難となります。さらに、これらの方法ではさらに踏み込んだ応用分野や最新知識については情報が得られないことも少なくありません。

逆にインターネットによる検索では、非常に偏った情報のみが詳細に記述されていることも多く、その根拠や真偽が不明な記事もあります。

2. 半導体メーカー、商社等の講習

半導体メーカーや商社が開催する講習は、本来の目的が自社製品の周知・販売にあります。

応用や最新知識として自社製品関連には多くの時間や情報が提供されるものの、基礎的知識にはあまり時間をかけない、または習得済として触れられない場合がほとんどです。

3. 学校・教育機関による講習

デジタル回路を学ぶ場合には、学校や教育機関による講座などを受講することでも学習できます。

しかし、そういった教育機関の中には最新の情報にアップデートされておらず、古い情報のまま講習を実施しているところもあります。特に公的な教育機関では教材なども古いことが多いので、受講される場合は十分ご確認ください。

SATの技術者スターター講座「デジタル回路」について

SATの技術者スターター講座「デジタルシステムの実践的開発入門」は、24時間/365日いつでも受講できるWeb講座です。モチベーションを維持しながら受講者の理解度にあわせて進めることができます。

デジタル回路の基礎的知識を丁寧に説明しながら、応用分野や最新知識にも言及したオリジナルのテキストを用いています。

もちろん、特定の半導体メーカーや製品に偏った内容ではありません。デジタル回路に興味がある方や勉強する必要がある方はぜひ受講を検討してみてください。

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