チェーンソーによる伐木等特別教育は、林業や建設業で伐木に従事する方に受講が義務づけられています。講習を受講することで、安全意識を高められたり仕事の幅を広げたりできるのがメリットです。
本記事では、チェーンソーによる伐木等特別教育の概要や受講内容、受講方法について詳しく解説します。取得するメリットや資格の需要もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
チェーンソーによる伐木等特別教育とは
冒頭でも述べた通り、チェーンソーによる伐木等特別教育は、林業や建設業などで伐木を実施する際に必要な資格です。伐木とは、樹木を切り倒すことをいいます。
伐木は、林業や建設業の現場で日常的に行われますが、毎年多くの死亡事故が発生しており、危険を伴う作業です。
そのため、安全衛生規則にもとづいて定められた安全衛生特別教育規定では、特別教育の実施が義務づけられています。
なお、チェーンソーによる伐木等特別教育を受講するのは、業務でチェーンソーを使用する場合に限られます。例えば、個人で自宅の庭の木を伐採するといった場合には、受講の義務はありません。しかし、個人で受講する場合でも、チェーンソーを使用する際には十分に注意して扱いましょう。
チェーンソーによる伐木等特別教育を受講するメリット
チェーンソーによる伐木等特別教育を受講するメリットは、以下の通りです。
- 伐木に対しての安全意識をさらに高められる
- 林業や建設業において仕事の幅が広がる
- キャリアアップにつながる
チェーンソーによる伐木等特別教育を受講することで、伐木に対しての安全意識を今まで以上に高められます。結果、自分自身に起こりうる労働災害を防止したり、現場での安全に関する留意事項を共有し合ったりなど多くの場面で役立つでしょう。
特別教育を受講することで仕事の幅がこれまで以上に広がるのもメリットです。
仕事の幅が広がれば、企業からより重宝される人材としてキャリアアップにつながる可能性もあります。
チェーンソーによる伐木等特別教育の法改正について
チェーンソーによる伐木等特別教育は、2019年に法律が改正され、2020年の8月より改正後の特別教育が実施されています。
法改正前では、伐木の対象が大径木と小径木に分類され、それぞれで受講内容が異なっていた傾向です。ただし、法改正後は講習が統合されて受講科目が増えました。
そのため、法改正前に講習を受講している方は、特別教育の一部(補講)を受講する必要があります。補講が必要な項目に関しては、以下の通りです。
分類 | 区分け | 必要な補講時間 |
---|---|---|
大径木の | チェーンソーを用いる場合において、胸高直径が70cm以上の立木の伐木、胸高直径が20cm以上でかつ、重心が著しく偏している立木の伐木、つりきりその他特殊な方法による伐木又はかかり木でかかつている木の胸高直径が20cm以上であるものの処理の業務 | 学科:2時間 |
小径木の | チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理または造材の業務を実施する場合 | 学科:2時間 |
法改正の前後で講習の内容が異なっているため、受講を修了した後でも定期的に情報を確認するのがよいでしょう。
チェーンソーによる伐木等特別教育の需要の高さ
チェーンソーによる伐木等特別教育は、林業や建設業などで従事する方であれば、今後も需要の高い資格といえます。なぜならば、技術者自身に付加価値のつく資格であるためです。
現在はAIが登場し、事務作業などを含めて色々な業種のAI化が進んでいます。ただし、伐木に関しては技術者自身が行うものなので、AI技術を活用することはあっても、AI自体に仕事を奪われることは考えにくいといえます。
また、チェーンソーによる伐木等特別教育は、安全衛生規則にもとづいて定められた安全衛生特別教育規定によって受講が義務づけられているのも特徴です。労働災害を防止するために必要不可欠なので、今後の需要もなくならないといえるでしょう。
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講内容
ここまでで、チェーンソーによる伐木等特別教育の概要や需要について解説しました。とはいえ、特別教育がどのような内容で実施されるのかは気になる方も多いと思います。
ここからは、チェーンソーによる伐木等特別教育の受講内容や受講方法について詳しく解説します。
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講資格
チェーンソーによる伐木等特別教育は、受講資格が特に定められていません。年齢や学歴に関係なく、誰でも講習を受講できます。
ただし実際の現場作業は危険が伴うので、業務に就くのは18歳以上になってからにしましょう。
また、受講対象者に関しても具体的な資格の保有者といったように定められていない傾向です。林業や建設業において伐木を実施する労働者に対して、特別教育の受講が義務づけられています。
チェーンソーによる伐木等特別教育の実施内容
チェーンソーによる伐木等特別教育は、学科講習と実技講習で構成されています。それぞれの講習時間について詳しくみていきましょう。
学科講習の実施内容
学科講習の実施内容は、以下の通りです。
講習内容 | 講習時間 |
---|---|
伐木等作業に関する知識 | 4時間 |
チェーンソーに関する知識 | 2時間 |
振動障害およびその予防に関する知識 | 2時間 |
関係法令 | 1時間 |
合計 | 9時間 |
学科講習は、伐木などの作業やチェンソーなどの器具に関する知識をはじめとする合計9時間の内容で実施されます。実際に作業で従事する際に必要な知識を座学で学ぶ講習です。
知識がなければ、実際に従事する際に何が正しくて何が間違っているかを判断できません。そのため、現場で従事する際の安全意識を高めるためにも、講習は集中して取り組みましょう。
実技講習の実施内容
実技講習の実施内容は、以下の通りです。
講習内容 | 講習時間 |
---|---|
伐木等の方法 | 5時間 |
チェーンソーの操作 | 2時間 |
チェーンソーの点検および整備 | 2時間 |
合計 | 9時間 |
実技講習では、学科講習で学んだ知識をもとに、伐木の方法やチェンソーの操作・点検・整備の方法を実技で学びます。学科講習と同様、合計9時間の内容で実施されるのが特徴です。
チェーンソーによる伐木等特別教育は、実技講習を終えると修了証が交付されます。要するに、実技講習で学んだ内容は実際の現場ですぐに活用するということです。
そのため、実技講習で生じた疑問点などは講師などに質問して解消しましょう。必要な知識・技術を兼ね備えた状態で実際の現場に就くことが大切です。
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講料金
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講料金は、実施する講習機関によって異なります。15,000〜25,000円程度が受講料金の費用相場です。
また、講習機関によってはテキスト料金や修了証の発行料金が別にかかる可能性があります。そのため、講習を受講する前に実施機関の情報を確認し、費用がどのくらいかかるか確認しておきましょう。
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講方法
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講方法は、主に以下の3つです。
- 講習機関の講習を実施する
- 自社で特別教育を実施して受講する
- Web講座で受講する
それぞれの受講方法について詳しく解説します。
受講方法①講習機関の講習を受講する
チェーンソーによる伐木等特別教育の一般的な受講方法は、講習機関が実施する講習の受講です。全国各地で開催される講習を修了することで、資格を取得できます。
現地開催の講習を受講する場合、講習費用や会場までの近さを確認したり、スケジュールを調整したりする必要があります。
複数の講習機関が取り扱っているため、お住まいの地域と講習会場などの情報をふまえ、自分に適した講習機関で受講しましょう。
受講方法②自社で特別教育を実施して受講する
林業や建設業をメインに扱っている企業の場合、自社で特別教育を開催するのも1つの方法です。チェーンソーによる伐木等特別教育をすでに受講した方で熟練の技術者がいる場合、技術者を講師にして特別教育を実施できます。
また、一部の講習機関では出張講習を取り扱っています。講師の出張費用や宿泊費の支払いが必要になる場合もありますが、技術者のスケジュールの調整を簡単にしつつ、まとまった人数の受講が可能です。
企業内で一定以上の人数が特別教育を受講する場合におすすめの方法といえます。
受講方法③Web講座で受講する
自分以外に企業で受講する方がおらず、講習会場に足を運ぶのも面倒だといった場合は、Web講座での受講をおすすめします。
Web講座であれば、専門講師による動画講義を受講するだけなので、時間や場所に縛られません。
そのためWeb講座は、講習会場に足を運ぶ必要がなく、講師の出張費用や宿泊費用も発生しないため、受講費用を抑えられます。
これまでご紹介した受講方法のデメリットをなくして受講できるのがメリットです。
ただし、Web講座が対応しているのが学科講習までとなります。実技講習に関しては自社での実施を求められやすいため、学科講習の受講をスムーズに進めたい場合におすすめといえるでしょう。とはいえ、9時間もある学科講義だけでもWebのみで受講できるのはとてもメリットが大きいです。
チェーンソーによる伐木等特別教育のポイントまとめ
ここまで、チェーンソーによる伐木等特別教育の概要や資格の需要、受講内容について詳しく解説しました。改めて、本記事のポイントをおさらいしましょう。
- チェーンソーによる伐木等特別教育は林業や建設業で伐木する労働者に対して受講が義務づけられている
- 受講することで仕事の幅が広がったりキャリアアップにつながることがある
- 講習は学科講習と実技講習で構成されている
- 受講方法は講習に足を運ぶ・自社での実施・Web講座の受講がある
チェーンソーによる伐木等特別教育を受講することで、今以上に企業から重宝される人材を目指せます。ぜひ、積極的に講習を受講して安全意識を高めつつ、技術者としてレベルアップしてください。