建築物石綿含有建材調査者

【2023年10月より】アスベスト事前調査の義務化について解説!

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アスベストは断熱性、耐火性、吸音性などに優れた鉱物繊維です。

アスベストがもつ特性は建築分野で大いに活用され、輸入されたアスベストの約8割が建材として利用されたほどです。

しかし、健康被害を招く危険性があるため、現在ではアスベストの製造や使用が原則禁止になり、アスベストが使用された古い建物の解体などには対策が必要です。

今回は、アスベストに関する法改正の概要と、建築分野での用途について解説します。

有資格者によるアスベスト事前調査の義務化

アスベストの事前調査に関する法律は2021年より順次法改正が行われており、方法や報告対象の業務が変更されています。

中でも2023年10月1日からは、建築物の事前調査を有資格者に実施されることが義務付けられました。

具体的には石綿含有建材調査者講習などの講習を修了した方が該当します。

未修了者に従事させた場合は、罰金制度が適用される可能性があるため、必ず資格を保有した方が事前調査を実施しましょう。

①資格を取得するためには

建築物におけるアスベスト含有の事前調査に従事できるのは、以下の資格取得者です。

石綿事前調査可能資格
  • 特定建築物石綿含有建材調査者
  • 一般建築物石綿含有建材調査者
  • 一戸建て等石綿含有建材調査者
  • 日本アスベスト調査診断協会に登録されている方(2023年9月30日以前)

また、船舶においては「船舶石綿含有資材調査者」の資格保有者が従事できます。ただし、誰でもすぐに従事できるわけではありません。

建築物においては「建築物石綿含有建材調査者講習の修了者」が、船舶では「船舶石綿含有資材調査者教育」の講習受講後、修了考査に合格した方が資格を保有できます。

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②事前調査が必要な工事は

アスベストの事前調査自体は、原則としてすべての工事が対象です。

そのため、工事規模・請負金額に関係なく事前調査しなければなりません。 中でも以下の業務は、アスベストの事前調査結果を労働基準監督署および自治体に報告することが義務付けられています。

  • 解体部分の延べ床面積が80平方メートル以上の建築物における解体工事
  • 請負金額が100万円以上(税込)の建築物における改修工事
  • 請負金額が100万円以上(税込)の特定区分における工作物の解体・改修工事
  • 総重量が20トン以上の船舶(鋼製のものに限る)の解体・改修工事

上記に該当する業務の報告が義務付けられているのは、元請けです。該当する場合は必ず事前調査の実施・報告を行いましょう。

ただし、電球交換などの簡単な作業や道路の補修作業は、アスベストの調査が必要ありません。

具体的な内容を確認する際は、環境省の発表内容を確認したり各自治体の窓口に問い合わせたりするのがおすすめです。

③調査・報告の流れについて

アスベスト事前調査から報告するまでの流れはこちらの通りです。

  1. アスベスト事前調査の専門家に依頼する
  2. 書面調査、現地調査
  3. 調査結果をもとに報告書を作成する

まず、アスベストの事前調査は、アスベストと建築物の調査に精通した専門家に依頼します。

依頼先としては、建築物石綿含有建材調査者・一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録されている技術者・アスベスト作業主任者で、 なおかつアスベストの除去作業経験者が対象です。

また、対象者は2023年10月1日よりアスベスト調査の講習を修了していることが条件となります。

依頼後は、設計図書による書面調査・目視による現地調査が実施されます。 設計図書のみで判断するのではなく、現地で採取したサンプルからアスベストの含有率を確かめる調査です。

調査後は、結果をもとに報告書を作成し、労働基準監督署・自治体に提出します。 報告書には3年間の保管期間が義務付けられているだけでなく、解体工事開始の14日前までに提出しなければならないとされているため、 忘れないようにご注意ください。

そもそもアスベストとは?

アスベストは天然に存在する鉱物繊維で、かつては石綿という名称で広く知られていました。

アスベストには6つの種類があり、日本でおもに使用されていたのはクリソタイル、アモサイト、クロシドライトの3種類です。

アスベストの用途は3,000種類を超えるとされ、日常生活に欠かせないものとなっていました。 アスベストは熱や摩擦、酸、アルカリなどに強く、変化しにくい性質をもちます。

断熱性、耐火性、防音性、絶縁性に加えて結露対策も可能なアスベストは、安価な建設資材として広く普及しました。

60年代の高度成長期はビルの高層化、鉄骨構造化にともない、耐火材としてアスベストが大量に用いられました。

また、建材以外の工業製品の用途は、ブレーキパッドなどの摩擦材、シール材、電気絶縁板、配管などのガスケットに用いるジョイントシート、断熱材用接着剤など多岐にわたります。

建築分野におけるアスベストの用途

建築分野でアスベストが使われた場所、材料について見ていきましょう。

吹き付けアスベスト

吹き付けアスベストとは、建物の内部にアスベストを直接吹きかけるものです。アスベストとセメントを混ぜたものを、壁や天井、機械室、煙突などに吹き付け、施工を行ないます。

吹き付けアスベストは、防火、耐火、吸音、結露対策などを目的とした施工です。1955年~1975年の新築工事では吹き付けアスベストが用いられましたが、1975年に原則禁止となりました。

アスベストの含有量は、鉄骨耐火皮膜用で約60%、防音・結露用で約70%です。吹き付けアスベストは建材と異なり、室内に露出した状態で存在します。

そのため、経年劣化や損傷により、繊維が空気中に飛散するおそれがあります。

吹き付けロックウール

1975年に禁止された吹き付けアスベストに代わり、ロックウールによる吹き付けが行なわれるようになりました。

ロックウールとは、岩石を高熱処理した人造鉱物繊維のことです。 吹き付けロックウールにおいても、過去にはアスベストを含む製品が使用されていましたが、それも2005年の7月1日に完全に禁止になりました。

なお、吹き付けロックウール施工は現在も行なわれていますが、アスベストを含まないため健康被害に関する問題はありません。

アスベストを含む保温材や断熱材

かつては、ボイラーなどの配管、鉄骨、屋根裏、煙突などに、アスベストを含む保温材や断熱材、耐火被覆材が使用されていました。

これらの保温材や断熱材は、化学プラントやボイラー本体に加え、屋根裏や天井材にも用いられています。

保温材、断熱材のアスベスト含有率は90%以上と高いものもあるため、吹き付け施工の次にアスベストの飛散性が高いので注意が必要です。

アスベストを含む成形板

アスベストを含む成形板は、住宅の屋根や外壁、天井、床、壁紙など幅広い用途で使用されていました。

代表的なものは、スレートボード、せっこうボード、けい酸カルシウム板、サイディングなどが挙げられます。

アスベストがもつ耐火性、防火性、断熱性、防水性などの性質を活かした成形板は、ビル以外の一般住宅にも使用されています。

成形板は板状に固めているため、切断や穴開け、建物の解体などをしない限りアスベストは飛散しません。

吹き付け施工、含有量が多い保温材や断熱材に比べ、成形板はアスベストの飛散性は低いといえます。とはいえ、経年劣化で損傷した場合、アスベストが飛散する可能性があるので注意が必要です。

建築物石綿含有調査者講習会に参加して資格を取得

建築物石綿含有調査者は、講習を受講して修了試験に合格することで資格を取得できます。 実施している機関はさまざまあり、自分に適した講習を受講して取得することが大切です。

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アスベストの事前調査に携わる方は、ぜひSATの講習会を利用してみてはいかがでしょうか?
2023年10月以降は調査が義務化されたので、まだ受講されていない方は受講を急いでください。

アスベストの調査義務化まとめ

有資格者のアスベスト調査義務化とは?

アスベストの事前調査は、2023年10月1日より石綿含有建材調査者の資格保有者に実施されることが義務付けられます。
そのため、現場で従事する方は講習を受講して修了証を保有しなければなりません。 もし、未受講者に従事させた場合は、労働者や事業者に対して罰金制度が適用される可能性もあるため、 必ず講習は受講して修了考査合格後に従事しましょう。

調査及び報告はどういう流れで行われる?

アスベスト事前調査から報告するまでの流れはこちらの通りです。
①アスベスト事前調査の専門家に依頼する
②書面調査・現地調査
③調査結果をもとに報告書を作成する。
アスベストの事前調査に精通した専門家に依頼後、設計図書による書面調査・目視での現地調査を実施します。 その後、調査結果をもとに報告書を作成して労働基準監督署・自治体に提出するといった流れです。

石綿含有建材の使用目的は?

主に防火、耐火、吸音、防水、結露防止、保温、断熱の目的として使用されておりました。
代表的な建材として、吹き付けアスベスト、吹き付けロックウール、保温材、断熱材、耐火被覆版、スレートボード、せっこうボード、けい酸カルシウム板、サイディングなどが挙げられます。

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