第三種電気主任技術者、通称「電験三種」は、国家資格にして合格率が非常に低い難関資格です。
・勉強方法の前に、そもそも何を勉強すればいいのかがわからない…
・書店で参考書を手にとってみたが、難しくて心が折れそう/折れた…
という方も多いのではないでしょうか。
これから紹介する方法で勉強する事により、「電験三種に一発試験合格!」も夢ではなくなります。ご自身に合う勉強方法を見つけてみてください。
目次
電験三種合格までの一般的な学習時間は1,000時間
もちろん個人差はありますが、電験三種の合格のために費やすべきとされる学習時間は、一般的に1,000時間程度です。
これは毎日欠かさず1日に3時間程度を勉強に費やした場合でも、ほぼ1年間かかることになります。
これだけの時間を費やすのですから、出来る限り効率的に、そしてバランスよく学習を進める必要があります。
そして電験三種の試験範囲は非常に広いことで知られており、理論、電力、機械、法規という4科目をバランスよく理解し、各科目ごとに定められた合格水準(おおむね60点)以上の点数を取る必要があります。
ですので特定の科目で満点を取ったとしても、その他の科目が60点を下回っていれば、不合格になってしまうでしょう。
効率的にバランスよく学習を進めるためにも、ご自身に合った勉強法をまずしっかりと選定することが非常に重要です。
電験三種試験の3つの学習方法
具体的な学習方法としては下記の3つがあります。
- 専門学校に通う
- 参考書で独学する
- 動画教材で勉強する
ここではそれぞれの勉強法について、メリットとデメリットを紹介します。
1. 専門学校に通う
専門学校に通うメリット
専門学校は独自のノウハウを持ち、講師が講義をおこなって勉強します。たとえば、参考書だと3行で説明が終ってしまう項目でも、専門学校ならば講師が10分程度かけて説明してくれるものもあるでしょう。
丁寧に説明されればそれだけ理解しやすいことでしょう。また、解らないこともすぐに質問ができるので、解らないことがそのままになってしまうこともありません。
電気に関する知識が少ない人ほど、専門学校でで学ぶメリットは大きいです。また、今はリモート授業を取り入れている学校も多いので、自宅でも勉強ができるところもあります。
専門学校に通うデメリット
専門学校に通うには、最低でも10万円以上の費用が必要です。場合によっては入学金も必要になるため、手痛い出費となるでしょう。
また、専門学校は通える期間も決まっているので、その期間に合格できなければあとは独学でおこなわなければなりません。専門学校に通っても必ず合格できるとは限らないので、よく考えましょう。
そして、昼間しか授業のない学校ならば、仕事をしながら通えません。夜間に授業をおこなっている学校でも、仕事と両立するのは難しいこともあります。
電験の試験対策をおこなっている専門学校は数が少なく、ある程度の規模の都市に住んでいないと専門学校に通えないケースもあるでしょう。
2. 参考書で独学する
参考書で独学するメリット
全く知識のない状態から勉強をはじめる人向け、ある程度知識がある人向けなど、レベルに合わせて選べるのは大きなメリットです。
最近は電子書籍化された参考書も増えたので、持ち運びも簡単です。要点がコンパクトにまとめられているので短時間で理解できなかった部分を再確認したり、試験直前に復習したりするときにも使いやすいでしょう。
電験三種は科目数が多く、寡黙ごとに理解レベルに差がある方もいます。そんなときも、参考書なら1科目ずつレベルに合わせて選べます。
このほか、参考書は高くても2~3,000円の価格帯でも多くあり、古本市場も活発です。できるだけお金をかけずに勉強したい方にも適しています。
参考書で独学するデメリット
参考書は初心者向けのものであっても、動画教材に比べると伝えられる情報が限られます。そのため、初心者ほど解りにくさを感じがちです。参考書を黙読すると理解できた気分になりますが、いざ問題を解こうとしてもできなかったということもよくあります。
また、「参考書を読んだが理解できなかった」場合は解決方法が見つからずにモチベーションが低下してしまいがちです。
このほか、参考書の種類が多すぎるのもデメリットです。特に資格試験にはじめて挑戦する場合は、参考書選びの段階で迷ってしまい、モチベーションが低下してしまうこともあるでしょう。
理解しやすい参考書を求めて何冊も購入したが、結局無駄になったというケースもよくあります。
3. 動画教材で勉強する
動画教材で勉強するメリット
動画教材は、自宅で専門学校の授業を受ける感覚で勉強ができます。講師が図や写真、板書などを用いて解説してくれるので、参考書では理解できなかったことでも理解しやすいでしょう。
また、動画教材は目だけでなく耳からも情報が入ってくるので、より記憶に残りやすいメリットがあります。たとえば、公式も黙読するだけより耳から聞いて、さらに問題を解けばより理解度が深まることでしょう。
さらに、通信教育の動画教材の場合は解らないことをメール等で質問できるサービスを行なっている場合があります。解らないことをすぐに解決できれば、モチベーションも保てるでしょう。このほか、通信教育の動画教材は、最新情報に合わせて作成されています。法律が変わった場合などもすぐに対処してくれるので、安心です。
このほか、模擬試験も一緒についている動画教材の場合、「教材を視聴」「模擬試験を解く」を繰り返せばより確実に知識を身につけられるでしょう。
動画教材で勉強するデメリット
動画教材は、どうしても視聴時間が長くなりがちです。細切れで視聴しても理解はできますが、「参考書を見返すより使いにくい」と感じる方もいるでしょう。
ですから、長時間勉強をするときは動画教材、短時間で特定の場所を見返したい場合は参考書と使い分けるといいでしょう。
このほか、動画教材はどうしても参考書に比べると値段が高くなりますが、資格取得に使える補助金を利用すれば、自己負担は軽くなります。
電験三種合格に向けた具体的な勉強スケジュールの立て方
冒頭で述べた通り、電験三種資格試験はがむしゃらに時間をかけるだけで合格できるような試験ではありません。
そのため、電験三種合格に向けて、具体的な勉強スケジュールを立て計画的に学習を進める必要があります。
電験三種は人材確保のために、2022年度からは試験の受験機会が年2回に増加しました。
また、2023年度からは試験会場のパソコンで解答を行うCBT方式の試験方式も実施されるようになりました。
個人差はあるものの、電験三種合格のためにはおよそ1,000時間が必要と言われています。ここでは上期試験が実施される8月下旬〜9月上旬の1年後に試験本番を迎えると想定して、1年間の勉強スケジュールを見ていきましょう。
電験三種は4科目から成り立っていますが、【理論→電力・機械→法規】の順番に勉強するとスムーズに理解することができるでしょう。
ここからは、各科目の勉強方法について詳しく確認していきます。
理論の勉強方法
理論は計算問題が8割を占める科目で、電力・機械・法規、全ての範囲をカバーしています。
ですから、理論が理解できればほかの科目も理解が早くなるでしょう。その分、理解するまで時間がかかるので、真っ先に勉強をはじめるのがおすすめです。
なお、理論を理解するためには物理(電気)の知識だけでなく、数学の知識やセンスも大切です。数学が苦手、数学の勉強をしなくなって時間が経っている場合は、計算問題を解く訓練も行って行きましょう。
理論がどうしても理解できない場合は、「電気数学」の参考書も併用して理解を深めていくといいでしょう。このほか、公式を覚えるのはもちろんのこと、それを応用する力を養っていくことも重要です。
電力の勉強方法
電力は知識を問う問題が60%、計算問題が40%です。また、計算問題も理論に比べると易しいので、理論をある程度理解していれば短時間で知識が身につけられるでしょう。
その分、電力は電験三種の4科目の中では「合格しやすい科目」といえるでしょう。そのため、ケアレスミスをなくしていくことが重要です。
特に、計算問題は満点を取るつもりで過去問を繰り返し解いていきましょう。そうすれば、40点は確実に取れるので知識に多少抜けがあってもカバーできます。まず計算問題をしっかり勉強し、試験が近くなったら暗記部分に取り組んでもいいでしょう。
記憶はどうしても時間が経つと薄らいでいくので、試験直前に暗記科目を勉強したほうが得点アップがしやすいです。
機械の勉強方法
機械は、電力とは反対に計算問題が60%、知識を問う問題が40%の割合で出題されます。計算問題が多めなので、理論の次に機械を勉強するといいでしょう。
また、知識を問う問題は、電験三種の場合、二種、一種と比べて出題範囲が限定されます。ですから、計算問題に力を入れて勉強していきましょう。理論が理解できていれば、その延長と応用です。公式を覚えてそれを応用する力を身につけていきましょう。
人によっては、理論と機械を並行して勉強して行ったほうが理解しやすかったというケースもあります。いろいろと理解しやすい勉強方法を試行錯誤してみましょう。
特に、「回転機」に関する問題は苦手意識を持つ人が多いので、時間をかけてみてください。
法規の勉強方法
しかし、計算問題も出題されるので暗記オンリーではありません。それでもほかの三科目に比べると難易度は低めといわれていましたが、近年は難化が進んでいますので油断してはいけません。
その一方で、電気工事士の資格試験と内容がかぶっていることも多く、電気に関する仕事に就いている人は、実務経験が勉強に役立つこともあるでしょう。理論、機械と勉強してきて、試験が近くになったら法規の暗記科目をはじめましょう。
理論や機械に行き詰まったら法規の勉強をすると気分転換にもなりますよ。試験では計算問題を間違ったり計算ミスをしないように、過去問は1点でも多くの点を取ることを心がけて勉強していきましょう。
電験三種合格のカギはモチベーション維持
電験三種合格のためには膨大な勉強時間が必要なため、試験本番までモチベーションを維持することは簡単ではありません。最初は勉強時間を確保することに注力し、習慣づけることを意識しましょう。
そして、難解な問題を解くことよりも、基礎知識を充実させることに重点をおいてみましょう。いきなり難解な問題に挑んでしまっては、理解することができずに挫折して、モチベーションが著しく低下してしまうかもしれません。
そもそも電験三種に合格するためには、満点を取る必要はありません。電験三種試験は各科目において60点以上取得していれば合格は可能なのです。
だからこそ、基礎的な公式や考え方の定着がカギを握ります。 ですが、公式を丸暗記することに囚われてはいけません。
公式に当てはめるだけの問題は出題されませんし、本質を理解していないまま暗記をしても応用力は養われず、試験問題を解くことは難しいでしょう。基礎を学んだ後は、ひたすら過去問を解いて試験問題にしっかりと慣れましょう。
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電験三種の勉強方法をおさらいしよう
電験三種はどんな勉強方法がある?
電験三種は、専門学校を利用する方法、参考書で勉強する方法、動画教材を使う方法の3種類があります。
時間をかけて理解を深めたいなら動画教材、要点だけつかみ取りたいなら参考書を利用するといいでしょう。場面によって使い分けることが重要です。
各勉強方法のメリットやデメリットは?
動画教材は予備校の授業を家で受けるような感覚で勉強ができます。
動画は紙媒体の参考書に比べて得られる情報量が多いので、初心者ほど理解しやすいでしょう。
その一方で、短時間で勉強したいときは要点をまとめた参考書のほうが便利です。また、動画教材はどうしても高値になりがちで、参考書は選び方に苦労しがちです。
4つの科目の勉強する順番は?
一般的には、理論・機械・電力・法規の順で勉強するのがおすすめです。
理論はほか3科目の一部もカバーしており、範囲が広く難易度も高めです。だからこそ、真っ先に手をつけて時間をかけて理解を深めて行きましょう。
理論が解ってくればほかの3科目も勉強がすすみます。特に初期は計算問題に力を入れましょう。
合格へ向けたモチベーション維持方法とは?
電験三種は1,000時間かけないと合格に必要な知識が身に付かないといわれており、勉強は長期戦になります。
だからこそ、コツコツと勉強する時間をつける、模試に参加してみるなどして、モチベーションを維持しましょう。SNSなどで仲間を見つけても良いでしょう。