建築物環境衛生管理技術者は一般的に「ビル管理士」「ビル管」と呼ばれ、3,000平方メートル(学校施設の場合は8,000平方メートル)以上の施設に必ず設置が必要な資格です。
今回は、建築物環境衛生管理技術者試験の試験概要と申込方法について解説します。
目次
建築物環境衛生管理技術者とは
建築物環境衛生管理技術者(以下「ビル管理士」)は、ビルメンテナンス業務に関連する資格の中で難易度が高い資格の一つです。ビル管理に関わる最高責任者としての仕事が行えるため、取得すれば就職や転職に大変有利になります。
また、ビル管理士の需要は大規模な建設現場から老朽化した住宅の改修工事など、一定の需要があります。
ビル管理士の仕事内容は、以下のとおりです。
No | 仕事内容 |
---|---|
1 | 管理業務計画の立案 |
2 | 管理業務の指揮監督 |
3 | 建築物環境衛生管理基準に関する測定または検査結果の評価 |
4 | 環境衛生上の維持管理に必要な各種調査の実施 |
また、ビル管理士は、維持管理が管理基準に従って行われるようにするため、建築物維持管理権限者に対して意見を述べることができます。
そして、建築物維持管理権原者はその意見を尊重しなければならないとされています。
ビル管理士の試験内容について押さえよう
次に、ビル管理士の試験日や試験地、試験科目を確認し、準備をしましょう。
試験概要
第54回(2024年度)試験の例をみてみましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
試験実施日 | 2024年10月6日(日) |
試験地 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府 及び 福岡県 |
試験科目 | ・建築物衛生行政概論 ・建築物の構造概論 ・建築物の環境衛生 ・空気環境の調整 ・給水及び排水の管理 ・清掃 ・ねずみ、昆虫等の防除 |
費用 | 13,900円(消費税は非課税) |
必ず、公益財団法人 日本建築衛生管理教育センターのサイトを確認しておきましょう。次に受験資格について解説します。
受験資格
ビル管理士を受験するためには、下記1~3を満たしている必要があります。
(以下引用:公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター)
1.以下の使用用途で供される建築物に関わった業務経験
No | 業務経験 |
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ア) | 興行場(映画館、劇場等)、百貨店、集会場(公民館、結婚式場、市民ホール等)、図書館、博物館、美術館、 遊技場(ボーリング場等) |
イ) | 店舗、事務所 |
ウ) | 学校(研修所を含む。) |
エ) | 旅館、ホテル |
オ) | その他アからエまでの用途に類する用途 多数の者の使用、利用に供される用途であって、かつ、衛生的環境もアからエまでの用途におけるそれと類似しているとみられるものをいいます。 |
また、受験資格に該当する用途と該当しない用途があるたため、注意しましょう。
該当する・しない | 用途 |
---|---|
受験資格に該当する用途 | 共同住宅、保養所、寄宿舎、保育所、老人ホーム、病院等 |
受験資格に該当しない用途 | もっぱら倉庫、駐車場、工場(浄水場、下水処理場、清掃工場、製造工場等)等の用途に供されるもの。その他特殊な環境(通信施設、発電所等)にあるもの。 |
上記以外の用途について不明な点がある場合は、(公財)日本建築衛生管理教育センター国家試験課にお問い合わせください。
2.以下の業務に携わった実務経験
No | 実務経験 |
---|---|
1 | 空気調和設備管理 |
2 | 給水、給湯設備管理 (貯水槽の維持管理を含む。浄水場の維持管理業務を除く。) |
3 | 排水設備管理 (浄化槽の維持管理を含む。下水処理場の維持管理業務を除く。) |
4 | ボイラ設備管理 |
5 | 電気設備管理 (電気事業の変電、配電等のみの業務を除く。) |
6 | 清掃及び廃棄物処理 |
7 | ねずみ、昆虫等の防除 |
※ 1~5の「設備管理」とは、設備についての運転、保守、環境測定及び評価等を行う業務をいいます。
※ 修理専業、アフターサービスとしての巡回サービスなどは、「建築物における環境衛生上の維持管理に関する実務」には該当しません。
※ 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則第21条第2項に規定する環境衛生監視員として保健所の環境衛生担当部署に勤務した経験は、受験資格に該当する実務に含みます。
業としてとは、受験者本人が建築物の環境衛生上の維持管理に関する業種の会社又はそれらの業務の担当部署等に勤務し、本来職務として又は主要職務として、上記実務を直接、反復継続して行うことをいいます。
3.1及び2に関する2年以上の実務経験
なお、申し込みの時点以降の期間を含めることはできません。
建築物環境衛生管理技術者の受験資格は、上記1~3の全てを満たす必要があります。
欠けている項目がある場合は受験ができないため、注意しましょう。
ビル管理士の申込方法
ビル管理士の申込方法は2種類あり、受験願書を試験実施団体のウェブサイトからダウンロード、もしくは日本建築衛生管理教育センターの返信用封筒での送付があります。書店や販売窓口の購入はないため、注意しましょう。
願書の入手方法
願書の入手方法は、公益財団法人日本建築衛生管理教育センターのウェブサイトから受験願書をダウンロードし、提出してください。
1.受験願書用紙のダウンロードおよび印刷方法
公益財団法人日本建築衛生管理教育センターの国家試験情報ページから受験願書用紙をダウンロードし、コピー用紙(A4判)に原寸サイズで印刷してください。なお、両面印刷は不可になります。
払込用紙は郵便局の備え付けのものを使用し、願書送付用封筒は本人が用意する必要があります。
2.願書一式を返信用封筒で請求する方法
住所、氏名、郵便番号を記載した返信用封筒(角形2号(縦332mm、横240mm)に180円分の郵便切手を貼り、「受験願書等の請求」である旨と日中の連絡先を記載したメモも同封し、郵送により請求してください。
なお、返信用封筒は、受験願書等の配布期間前に送ることができますが、試験実施団体から受験願書が送付されるのは配布日初日以降になります。
また、願書代金は不要ですが、1人1部の配布になるため、会社等でまとめて受験願書等が必要になる場合は、国家試験課に問い合わせましょう。
郵送による請求先は以下のとおりです。
〒100-0004 東京都千代田区大手町1丁目6-1 大手町ビル7階743区
(公財)日本建築衛生管理教育センター 国家試験課
電話番号:03-3214-4620
申請に必要な書類
ビル管理士の受験願書を提出する際に必要になる書類は以下の3つです。
No | 書類 |
---|---|
1 | 実務従事証明書または再受験の方は有効期間内の受験票 |
2 | 受験写真用台紙 |
3 | 受験手数料の振替払込請求書兼受領証 |
以上の書類を用意し、受験願書に添付されている所定の封筒に入れて簡易書留で郵送します。
受験願書等の配布期間と書類の提出期間
郵送の場合は当日消印有効です。期日までに送付ができなかった場合はその年の受験はできないため、余裕をもって準備しましょう。
試験は毎年10月上旬に実施され、5月上旬あたりにはその年度の試験の受付が開始されます。
必ず公式サイトで確認してください。
ビル管理士の試験勉強は余裕を持って行おう
ビル管理士の試験では、実務経験や建築物の用途など、複数の受験要件が設けられています。必ず受験前に確認しましょう。
また試験勉強も申込と同様に余裕をもって行う必要があります。ビル管理士資格はオンライン講座でも勉強が可能です。
通信講座のSATの建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)講座では、知識ゼロから最短30日間で合格ラインに到達できるように教材が作られています。
現代の世の中から建物が無くなることはまずありえません。
ビル管理士はとても需要がある資格ですので、取得するメリットはとても大きいでしょう。