建築施工管理技士は、建築一式工事の施工管理のプロフェッショナルな資格です。特定建築業の主任技術者、または大規模な建設工事に配置する監理技術者の選任が受けられます。
建築施工管理技士は1級と2級があります。さらに、施工管理技士の受験資格が令和6年度(2024年度)から大きく改正されることになりました。
こちらでは、新しくなった建築施工管理技士の受験資格について詳しく解説します。
目次
建築施工管理技士とは
建築施工管理技士は、工事現場での技術責任者として施工管理や安全管理するために必要な資格です。建設業法第27条第1項に基づいて国土交通大臣が指定した機関が定期的に試験を実施しています。
建築施工管理技士は1級と2級に分かれていて、それぞれ許可されている施工管理範囲が異なるのも特徴です。
- 1級建築施工管理技士
特定建設業の許可を受けるのに必要な監理技術者として、業務を遂行することができます。 - 2級建築施工管理技士
一般建設業許可を受ける際に必要な「営業所ごとに配置する専任の技術者」などとして認められます。
つまり、さまざまな工事を請け負うためには、建築施工管理技士を常駐させなければいけません。また、多種多様な工事現場(建築工事業・大工工事業・板金工事業など)で需要があるので、取得メリットのある資格です。
2024年度版!建築施工管理技士の受験資格
それでは、1級・2級建築施工管理技士の受験資格において、最新の建築施工管理技士の受験資格について確認していきましょう。
まずは1級建築施工管理技士の第一次検定からみていきます。
1級建築施工管理技士【第一次検定】の受験資格
1級建築施工管理技士の第一次検定を受験する場合の受験資格は、以下のように定められています。
1級施工管理技士 第一次検定 |
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19歳以上 (試験実施年度末において) |
上記のように、1級建築施工管理技士の第一次検定の受験資格は、年齢制限のみとなっています。
以前までは実務経験が必ず必要でした。またその実務経験も学歴ごとに年数が定められており、複雑な受験資格でしたが、今回の改正でシンプルになっています。
1級の一次は19歳以上という年齢制限のみですので、大学生や専門学生の受験生が増えるのではないかと予想されています。
また、これは2級でも言えることですが第一次検定の合格者には新しい資格である「技士補」が付与されます。特に1級の建築施工管理技士補を取得した場合は、現場で監理技術者の補助作業ができるようになります。
2級建築施工管理技士【第一次検定】の受験資格
2級建築施工管理技士の第一次検定を受験する場合の受験資格は、以下のように定められています。
2級施工管理技士 第一次検定 |
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17歳以上 (試験実施年度末において) |
2級の第一次検定の受験資格は、以前も17歳以上であれば受験可能でしたが、令和6年度の改正後も引き続き同様のものとなっています。
次のセクションでは、第二次検定の受験資格を詳しく解説します。
1級建築施工管理技士【第二次検定】の受験資格
1級の第二次検定の受験資格は、以下のいずれかに該当すると受験できます。
1級建築施工管理技士 第二次検定 受験資格 |
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1級一次検定合格後 2級二次検定合格後(1級一次合格者に限る) |
※ 表中にある「特定実務経験」とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事において、監理技術者・主任技術者(当該業種の監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験のことを指します。
1級建築施工管理技士の第二次検定に関しても、令和5年度より前までは学歴別の実務経験年数が定められていましたが、それらが撤廃されて各試験に合格後からの年数に統一されました。
1級の第二次検定の場合は、最大で5年間の実務経験が必要です。
2級建築施工管理技士【第二次検定】の受験資格
続いて2級の第二次検定の受験資格は、以下のいずれかに該当すれば受験可能です。
2級建築施工管理技士 第二次検定 受験資格 |
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① 2級一次検定合格後、実務経験3年以上 ② 1級一次検定合格後、実務経験1年以上 (①または②いずれか) |
2級の場合も以前は学歴別に実務経験年数が決められていましたが、それらが無くなっています。
そして2級の第二次検定の場合、もし1級一次に合格後であれば1年以上の実務経験のみで受験可能です。
第二次検定は旧受験資格も令和10年度まで有効
ここまで新しい試験制度について確認してきましたが、旧制度と新制度の移行期間として、令和10年度の試験までは第二次検定に関しては新旧どちらの受験資格でも受験が可能となっています。
これは1級・2級両方の第二次検定に適用されています。新旧両方の制度をうまく利用して受験するようにしましょう。
受験資格と認められる実務経験
ここまで受験資格に関して解説してきましたが、ここでは受験資格にある「実務経験」の内容について解説します。
建築施工管理技士試験における実務経験とは、建築工事の施工にかかわる技術上の全ての職務経験です。以下の3つの条件に該当すれば、受験資格として認められます。
No | 詳細 |
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1 | 受注者として建設現場の施工管理(4大管理)をした経験、または施工図の作成や補助作業 |
2 | 設計者などの工事監理の経験、またはその補助 |
3 | 発注者側の立場で現場監督技術者などの経験、またはその補助 |
また、2級は工事の種別で試験が分かれており、受験する種別によって実務経験が以下のように異なります。
項目 | 詳細 |
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建築 | 建築一式工事、または大工工事 |
躯体 | 大工工事、型枠工事、とび・大工・コンクリート工事、ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事 |
仕上げ | 大工工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・レンガ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、熱絶縁工事、建具工事 |
【2024年版】建築施工管理技士の試験スケジュール
最後に2024年度の試験日程と申込期間を紹介します。
1級建築施工管理技士
項目 | 詳細 |
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申込期間 | 令和6年2月22日(木)~3月8日(金) |
第一次検定 試験日 | 令和6年7月21日(日) |
第二次検定 試験日 | 令和6年10月20日(日) |
2級建築施工管理技士
項目 | 詳細 |
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申込期間 | 第一次検定のみ(前期):令和6年2月9日(金)~3月8日(金) 第一次検定のみ(後期):令和6年6月26日(水)~7月24日(水) 第一次検定・第二次検定:令和6年7月10日(水)~7月24日(水) 第二次検定のみ:令和6年7月10日(水)~7月24日(水) |
第一次検定 試験日 | 前期:令和6年6月9日(日) 後期:令和6年11月14日(日) |
第二次検定 試験日 | 令和6年11月14日(日) |
ここまで紹介したとおり、令和6年度試験から建築施工管理技士は大きく試験制度が変更になりました。制度をうまく利用して、建築施工管理技士資格の取得をぜひ目指してみてください。