第三種電気主任技術者

【2025年版】電験三種の「科目合格制度」とは?

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電験三種の受験を考えている方であれば、「科目合格制度」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

科目合格制度は、電験三種の難関試験を突破するうえで欠かせない制度です。制度を知っているか知らないかで、受験の合否を大きく左右するでしょう。

この記事では、「科目合格制度とは?」「科目合格制度を上手く利用する方法と具体例」の2点を中心に紹介していきます。

電験三種の「科目合格制度」とは

電験三種の科目合格制度とは、「4科目のうちの1つの科目を合格した場合、合格した科目は2年間だけ合格扱いになる」という制度です。

以前は、電験三種の試験科目は6科目あり、全て一発合格しなければならないという超難関試験でした。

更に、科目の一つ一つが簡単ではないため、合格者が少なかったのでしょう。科目が4つに減り、その上で「科目合格制度」が導入されたのです。

電気技術者センターでは、下記のように記載されております。

試験は科目ごとに合否が決定され、4科目すべてに合格すれば第三種電気主任技術者試験が合格となります。また、4科目中、一部の科目だけ合格した場合は、「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、その申請により最大で連続して5回まで当該科目の試験が免除されます。

(引用:電気技術者試験センター『科目合格制度(科目合格留保制度)』

「最大で連続して5回まで」とありますが、電験三種の試験は2022年度からは年間2回実施されています。

つまり、3年間(合計6回実施)で4科目の試験に合格すれば第三種電気主任技術者免状の取得資格が得られます

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この科目合格制度を上手く利用することで、試験合格の可能性はグッと上がります。「何年かけても合格できない」という苦痛を味わう必要もないのです。

電験三種の合格率は?

全体の合格率は?

例えば、令和4年度上期の電験三種試験の合格率は8.3%です。また令和4年度下期の試験の合格率が15.7%です。

しかし、例年令和4年度下期のような10%を超えることは少なく、過去数年間の合格率の推移を見てみると10%前後を推移しています。

そして令和5年度より、後ほど解説するCBT方式の試験が導入されました。その影響のためか、令和5年度上期は16.6%下期は21.2%令和6年度上期の合格率も16.0%と高い合格率となりました。

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とはいえ、電験三種は同じ電気系資格の電気工事士に比べるとはるかに難易度が高い試験です。そのため、一発合格できる方は少なく、多くの人が科目別合格を利用しています。

科目別の合格率は?

全体の合格率がわかったところで、3年間の全体合格率と科目合格率を比較してみましょう。

 令和4年度
上期
令和4年度
下期
令和5年度
上期
令和5年度
下期
令和6年度
上期
全体合格率8.3%15.7%16.6%21.2%16.0%
科目合格率
※1
理論17.1%17.7%18.5%21.7%16.7&
電力20.0%16.3%17.8%23.0%16.6%
機械6.9%14.9%13.9%14.2%13.3%
法規9.4%6.6%13.0%13.7%13.1%

※1 上記の表での科目合格率とは、4科目すべて合格した方を除く合格者の割合となります。

以前までは科目合格率は全体合格率よりもやや高めの水準でしたが、近年ではほぼ同じ合格率となっています。これは令和4年度から電験三種の試験が年1回から2回に増えたことや、令和5年度からはCBT方式の試験が導入されたことが関係していると思われます。

例えば、令和4年度下期の法規のように全体合格率よりもかなり低くなる場合もあるので、油断しないようにしてください。

科目合格率も試験ごとに変わり、難易度が高めだったときは合格率は低めです。令和4年度前期試験は理論が高めでした。

科目別合格制度を使うメリット

範囲を絞って勉強することができる

科目合格制度を利用すれば、勉強する範囲を自分で決めることができます。電験三種の試験は4科目あり、範囲もかなり広めです。

電気工事士の資格を取得している方でも、限られた時間内で全ての科目を一回の試験で合格するのはかなり難しいでしょう。

全く電気に関する知識のない人が試験にチャレンジするならなおさらです。でも、科目合格制度を利用すれば1教科に勉強を集中させることもできるでしょう。

たとえ一科目だけでも合格すれば、それを試験5回分維持することができます。しかも、合格してしまえばその科目の勉強はもうしなくてもいいのです。

短時間でも合格に必要な知識を勉強できる

科目合格制度を利用すれば、試験時間が限られていても合格する可能性があります。電験三種の試験に合格するには、約1,000時間の勉強が必要といわれています。

しかし、1日1時間勉強しても、3年はかかる計算です。1,000時間を4科目で割れば、1科目当たり250時間、1日2時間勉強すれば125日、約4か月で合格に必要な知識が身に付くでしょう。

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試験にチャレンジしたいが、受験まで数か月しかない、というときにも有効な方法です。
特に、ある程度知識がありちょっと勉強すれば合格する可能性がある方にはおすすめです。

モチベーションを保ちやすい

科目合格制度を利用すれば、勉強するモチベーションを長時間保つことができます。例えば、あと3科目合格基準点に達していたが、あと1科目だけ合格基準点に達していなかった場合、科目合格制度がないとまたはじめから勉強のやり直しです。

この状態でモチベーションを保つのは大変でしょう。しかし、3科目科目合格ができていてあと1科目だけ合格すればいいのなら、モチベーションを持続させることができます。

少しやる気が失せてきても「この3科目を無駄にできない」と思えば、再びやる気もわき上がってくるでしょう。

電験三種の科目合格制度の活用例

それでは、科目合格制度の上手な活用方法について、3年間での合格を狙ったパターンを見ていきましょう。戦略的に受験を考えておくことで、勉強方法のメドもつきやすく、楽な気持ちで受験に挑むことが可能です。ぜひ、参考にしてみてください。

3年間で合格するパターン

 1年目→理論と電気を合格
 2年目→機械を合格(この時点での合格扱い科目:理論、電気、機械)
 3年目→法規を合格(この時点での合格扱い科目:全ての科目)

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上記が科目合格制度を一番上手く利用した流れになります。
得意・不得意の科目に置き換えて、自分なりの3年で合格するパターンを作ってみましょう。

再受験にならないように注意をする

先ほどお伝えしたように、科目合格制度は、「一度合格した科目は2年間合格扱いになる」という制度です。

そのため、他の科目に合格しないままうっかり2年間を過ぎてしまうと、再受験が必要となってしまいます。

合格と不合格を繰り返すことで、以下のような状態に陥る可能性があります。

  • 負のスパイラルに陥るリスクがある
  • 合格した科目の再受験は気持ち的にしんどくなる
  • 勉強してから年数が経っているため、内容を全然思い出せない
  • 受験料が余分にかかる

このように、再受験には様々なデメリットがあり、できるだけ避けた方が良いでしょう。それに、受験期間が長くなるほど、負担が大きくなってしまいますよね。

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そのため、電験三種はできるだけ、3年以内に合格するようにしましょう。

令和5年度からはCBT方式での受験が開始された

先ほども少し触れましたが、電験三種試験は、令和4年度より試験制度が変更され、年に1度しか行われなかった試験が2回行われるようになりました。さらにその1年後の令和5年度からは、CBT方式の試験が開始されました。

CBT方式とは、Computer Based Testing(コンピュータ ベースド テスティング)の略で、パソコンを利用した試験方法です。

それまでの筆記方式は、マークシートにマークをして解答をしていきますが、CBT方式の場合は、パソコン画面に問題が表示されてマウスやキーボードを使って回答していきます。

筆記試験のように大規模な試験会場を用意する必要もなくなるため、試験会場や試験回数が増えるのではないかと予想されています。

なお、一斉にCBT方式に切り替わるわけでなく、今まで通りの筆記方式での試験も継続です。

電験三種の科目合格制度を利用した取得スケジュール

科目合格制度を利用するうえで、おすすめの取得スケジュールを紹介します。

機械と法規は優先しましょう!

まず、機械と法規は、1年か2年以内に合格しておきましょう。

なぜなら、この2つの科目は年度によって難易度のバラつきがあり、4科目の中で突出して難しいためです。

機械と法規をいかに合格できるかが、合格の鍵となることを知っておくとよいでしょう。それぞれの科目の特徴と対策方法を紹介します。

機械

出題の範囲が広く、4科目の中で最も難しいとされています。出題頻度の高い範囲に絞って勉強するのもありです。

また、変圧器関連、回転機関連(直流機、誘導機、同期機)の問題の出題傾向が高いのも特徴の一つ。このあたりに問題をしぼるのがおすすめです。

法規

他の科目と比べ、4問ほど少ないです。つまり、1問に対する配点が高くなっているということです。山が外れた場合のダメージは計り知れません。

また、計算問題が40点分あるというのもポイントです。ここの配点を落としてしまうと、不合格は免れないでしょう。法規の合格率を上げるためには、電技(電気設備技術基準・会社)を読むことです。電技を読みこむことで、論説や空白問題に対応できるようになります。

科目合格制度にも落とし穴はあるので注意!

メリットばかりに思える科目試験にも以下のような落とし穴があるので注意しましょう。

合格までの時間が長くなる

電験の試験は2022年度から年間で2回実施されるようになりました。もし1回の試験で1科目合格していくと、4科目合格するのに2年~2年半かかる計算です。

1年以内に資格が必要だという場合は、1回の試験で最低2科目以上の科目合格が必要になります。また、2年間勉強するモチベーションを保つのはなかなか大変です。

特に、社会人の場合は環境が変わったり仕事が忙しくなったりして勉強処ではなくなってしまうこともあるでしょう。

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ですから、短期集中型の方は思いきって1年で合格できるように頑張ってみたほうがメリットが大きいこともあります。

試験を受けるごとに受験料がかかる

電験三種の受験料は、インターネットの申し込みだと7,700円、郵送での申し込みは8,100円かかります(令和6年度試験の場合。それぞれ非課税)。受ける科目数に変わりなく一律です。

1回の試験で1科目ずつ合格していく場合、4回分の受験料がかかります。合計すると3万円前後ですが、手痛い出費と感じる方もいるでしょう。

2回で合格できれば15,000円前後、1回で合格できれば1万円未満の受験料で合格することができます。

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したがって、人によっては「できるだけお金をかけずに合格すること」を目標に勉強すれば、1回の試験で合格できるかもしれません。

油断をしないようにする

電験三種の試験は、科目ごとに難易度があります。一般的に電力は難易度は低め、理論と機械、法規は難易度高めですが、年度によっては難易度が逆転することもあります。

最初難易度の高い科目を合格しておいて後は「難易度が低いから安心」と油断していると思わぬ難問が出て不合格になってしまった、というケースは決して珍しくありません。

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しかも、免除される期間の最後の1年だった場合、合格できないともう一度受け直しになってしまいます。
「難易度は低めだから」という評価に惑わされないようにしっかり勉強しましょう。

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電験三種の科目合格制度のまとめ

電験三種の科目合格制度とは?

電験三種の科目合格制度とは、合格点を超えた科目については、5回分試験が免除される制度です。
ですから、1回の試験で1科目ずつ合格していけば、4回目の試験で総合合格ができます。良くできた科目を無駄にせず、時間をかけても合格できるようになる制度でもあります。

科目合格制度のメリットは?

科目合格制度を利用すれば、良くできた科目が無駄になりません。毎回はじめから試験に挑戦するよりモチベーションも保てるでしょう。
また、電気に関する知識が乏しい人でも、年単位で時間をかければ合格できるチャンスができます。

科目合格制度の注意する点は?

科目合格制度を利用した場合、合格するまでに最大で4年間時間がかかります。また、受験の度に費用がかかるので、試験を受ける回数が多いほど経済的にも厳しくなります。
このほか、計画的に勉強していても、急に難易度が変わって「合格できるはずの試験に合格できなかった」となる可能性もあるでしょう。

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